【労働安全】現場でよくある事故事例①<br>~挟まれ・巻き込まれ編~|イーバリュー株式会社

【労働安全】現場でよくある事故事例①<br>~挟まれ・巻き込まれ編~

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【労働安全】現場でよくある事故事例①
~挟まれ・巻き込まれ編~

4月から、皆さまの会社にも新入社員が入社されましたでしょうか?製造業では、必ず安全教育をします。

弊社にも労働安全に関する相談は多く寄せられますが、安全教育で効果的なのは実際の事例をもとにして、注意喚起をすることです。

ここでは、いくつかの典型事例を法規制の解説と合わせて紹介していきます。

挟まれ、巻き込まれの事故事例を考察

まずは、「挟まれ、巻き込まれ編」です。

こちらの事故事例を御覧ください。

事故状況

切削作業中に、切粉を手で払ったところ、軍手がフライス盤の刃物に巻き込まれ、さらに作業服も巻き込まれたという事故です。この作業者は、救急車で運ばれましたが、死亡しています。

事故原因として、「軍手を着用して作業を行っていたこと」があげられています。
作業中に手袋をすることは、良いことのように思いますが、どういうことでしょうか?

作業服等のルール

機械・設備に関する一般基準には、作業服、作業帽といった「制服」に関するルールがあります。

労働安全衛生規則第110条では、作業者が、機械・設備に頭髪や衣服等を巻き込まれるおそれのあるときは、作業帽、作業服を着用するように規定しています。
機械・設備に巻き込まれないようにするためのものですから、身体にあった適切なサイズのものを身に着ける必要があります。

着ていれば良いわけではなく、長すぎる袖、地面についてしまうような裾、破れたり繊維がほつれてしまっているようなものは不適切です。そして、着衣については、着用を禁止する場合も規定されています。労働安全衛生規則第111条では、回転する刃物に編み込んだ繊維が巻き込まれる可能性があるときは、手袋を使ってはならないとされています。
繊維が絡まると、一気に体ごと巻き込まれ、大事故になってしまうおそれがあるということですね。

一方、機械・設備の種類を問わず、共通して適用される規定には、囲いなどを設けるルールがあります。

機械のルール

挟まれ、巻き込まれ、切れ・こすれ等の労働災害の原因となる機械には、できる限りカバーなどの対策をしなければなりません。このように、危険な部分と直接接触しないように設備を設置することも重要です。

しかし、完全に接触しないようなカバーが装着できる機械ばかりではありませんし、今回は「切粉を払おうとした時」に事故が起こっています。カバーができる機械だったとしても、それを外して掃除する可能性がありますね。こうした場合は、必ず機械を停止させてから行うことが重要です。

・機械の種類に応じて適切な服装にする。巻き込まれの恐れがある場合は手袋を外す。
・可能な限りカバーなどを設ける
・やむを得ず、機械部分近くに接触する場合には必ず機械を停止させる

この様な対策で、職場の安全を守りましょう!

Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー

セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。