中国の廃プラ輸入規制!企業への影響は?

中国の廃プラ輸入規制!企業への影響は?

コラムCOLUMNS

  • ニュース解説

中国の廃プラ輸入規制!企業への影響は?

中国が2018年末に、廃プラスチックの輸入を停止して以来、国内では廃プラの市場が厳しくなる一方です。最近は、廃プラスチック関連の記事も増え、弊社のクライアントからもご相談を多くいただきます。

「これまでは有価物として扱ってきたが、買い取りができないと言われている。廃棄物として取り扱かわなければならないとなると、コストがかなりかかってしまう。」という内容がほとんどです。

今回は、この「廃プラスチック問題が企業に対してどんな影響を与えているのか」を今後の見通しも含めてお話しします。

中国の廃プラ輸入規制が及ぼす影響

企業としては、やはりコスト増加の影響が一番大きいのではないでしょうか?これまで有価物として売却できたものに買い手がつかなくなり、廃棄物として処理委託しなくてはなりません。売れていたものが、費用を払って委託しなければならなくなるため、大幅なコスト増加です。
また、廃棄物として扱うということは、廃棄物処理法の規制を受けるということです。委託契約書の締結、マニフェストの発行、保管表示の整備等、管理コストも決して無視できません。

海外への輸出としては、中国から東南アジアへの輸出にシフトしているところですが、各国も廃プラスチックの輸入に制限を設けており、今後さらに有価物としての取り扱いは難しくなっていくと思われます。

廃プラスチックを有価物では取り扱えない?

これまで有価物として売却できていたものを廃棄物として取り扱うことに抵抗があり、稟議が通らない企業もあるとお聞きします。ただ、有価物として処理できる先がないかと探しているうちに、保管量は増大していきます。
実際に、「国内で有価物として扱うことはできないの?」という質問は本当にたくさんいただきます。

正直なところ、国内でも有価物としての処理は難しいのが現状です。 下記のグラフを見れば、状況は一目瞭然です。

▲環境省HP「プラスチックを取り巻く国内外の状況」より引用

これまで、日本はプラスチックのほとんどを中国に有価物として、輸出していたのです。規制前は、全体の6~7割程度が中国に輸出されていたことが分かります。これだけの需要が、一気に無くなってしまいました。その代替は、そう簡単に見つかるものではありません。国内で有価物として扱おうとしても、そもそも需要に比べものにならないほどの差があります。厳しいようですが、「今まで通りにしたい」という要望自体が、「現実的ではない」と判断せざるを得ません。

行き場のない廃プラスチック。行政の対応とは?

政府は、対策として廃プラスチックのリサイクル施設を作る場合、整備費の1/2を補助する緊急的な財政支援制度を、2017年11月に創設しました。しかし、施設の整備には時間がかかる上に、そもそもの需要問題に対する直接的な対策にはなりません。

さらに、2019年5月20日付で「廃プラスチック類等に係る処理の円滑化等について(通知)」が発表されました。

内容を簡単にまとめますと…
『廃棄物として処理されるプラスチックが大幅に増えたので、産業廃棄物処理業者だけではまかないきれない。そのため、稼働率に余裕がある市の焼却処分場で焼却処理することも検討して下さい。』という各自治体への“お願い”です。

民間の産業廃棄物処理施設のみならず、市の施設も活用しなければならない程の事態です。この通知からも、有価物として処理することは厳しいことが読み取れます。

廃プラスチックを有価物として処理する業者は危ない?

この様な状況であるため、裏を返せば「うちなら廃プラスチックを有価で買い取ります!」という甘い誘いは相当に怪しいと考えるべきです。これだけ問題になっているにもかかわらず、有価買い取り(もしくは相当に安価な処理)ができる、という場合は適正な取扱がされていない可能性があります。

有価物から廃棄物に変わることで、コストの増加、その他多くの対策など、影響が大きいかと思いますが、こうした情勢やリスクを踏まえ、企業として適正な処理を行う必要があります。

コスト増加に対する対策

廃プラスチックのみを対象にすると、なかなか解決策は見出せませんが、少し広い視点で考えていただきたいと思います。

プラスチックの処理はコストアップも仕方がないと考えて、適正処理最優先の委託先を選択します。その代わり、別の品目でコスト改善ができないかを、徹底的に洗い直すのです。

弊社ではこれを重点思考と呼んでいます。排出量が多い物、処理費用が多くかかっている物は、数%でも改善できれば、廃プラの処理費用を補えるほどの効果が出る場合があります。

リスクが高い廃プラスチックに固執せず、トータルでコストを検討すると、現実的な打開策が見えてくるのではないでしょうか? 

イーバリューでは、こういったお悩みの課題を解決するためのサービスもありますので、是非ご相談ください。

Keisuke Yoshida 環境コンサルティング事業部

名城大学、経済学部、経済学科を卒業。 東海野球連盟の1部リーグに所属していた準硬式野球部に入部。2年生の春季リーグでベンチ入りをするも登板できなかった悔しさから練習に励み、3年生時には投手キャプテンを務める。 現在は採用担当として説明会の運営を行ったり、HPのコラム等を活用したお客様への情報発信を主に行う。