処理会社の社員教育の状況を把握しておくべき3つの理由

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処理会社の社員教育の状況を把握しておくべき3つの理由

突然ですが、皆さんは契約している廃棄物処理業者が「どんな従業員教育をしているか」をご存知ですか?

従業員の教育状況については、実地確認などの際にチェック項目にされている排出事業者さんもいらっしゃいます。しかし、あくまで各社が決めているヒアリング内容なので、「あまり聞いたことがない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、委託先の教育状況を把握しておくべき理由をご紹介します。

1:従業員への教育が義務ではないから

ズバリ言うと、廃棄物処理業の許可は従業員に廃棄物知識が無くても取得できてしまいます。

全く知識面の基準が無いわけではないのですが、業許可を取得するにあたっては「会社の役員や工場長など、代表者1名が数日の講習を受ければOK」という基準なのです。講習を受け、必要な運搬車両や処理施設を持ち、書類を揃えれば行政は許可を出すことになります。

ということは…

皆さんが普段接する営業担当やドライバー、事務スタッフなどは、公式な教育を受ける義務が全くないのです(企業ごとで定めた教育を実施しているのがほとんどです)。ですから、委託先が知識をもったプロかどうかは、自らチェックしなければなりません。

「許可を持っているからプロ」ではないのです。自動車の運転免許みたいなものと考えると、イメージがつきやすいと思います。免許を持っているからと言って、無事故無違反が約束されているわけではないですよね。最低限の基準を満たせば免許が取得できるので、中には免許を持っていても煽り運転などを行う危険なドライバーもいるのです。

2:行政の立入検査でも見られているから

処理業者は、行政の立入検査でも教育状況を聞かれます。特に、平成28年の食品廃棄物不正転売事件以降には「食品廃棄物の不正転売防止に関する産業廃棄物処理業者等への立入検査マニュアル」が公開されました。このことからも、廃棄物処理業者への取り締まりが強化されてきました。

この中にも、「従業員教育の実施状況とその記録はあるか」などの表記があります。もちろん、食品廃棄物に限らず、適正処理のために必要な教育状況は行政も確認していると考えるべきです。

従業員の知識は、適正処理に関わる重要な要素だということです。

3:無知による違反とその発覚リスクが大きいから

従業員教育をしていないと、コンプライアンスの観点でリスクが高まることは自明ですね。

では、具体的にどのようなリスクが考えられるのでしょうか?例えば過去には、「マニフェストに未来の日付を記入した」として行政処分を受けた処理業者がありました。

処分が終了する前にマニフェストの処分終了年月日を記入するというのは、現場の効率化のために行ったことではないかと思います。「本当はいけないことだけど…」という自覚のある違反なのか、知識不足で違反になることを知らなかったのかは分かりません。ただ、事業停止処分になるほどの大事になるとは予想していなかったのではないでしょうか?

この他にも、「もしかしたら知識不足だったのかな?」と感じる事例は枚挙に暇がありません。行政の立入検査では、職場の責任者ではなく、実務者に聞き取りをする場合も多いと聞きます。

マニフェストの実務を行っている事務員さんの法律知識が不十分であったため、自分が行っている作業をそのまま話したら、違反行為を洗いざらい伝えてしまっていた…なんてこともあり得ます。もちろん、違反に自覚があって隠すのはいけません。何が違反かを知り、違反にならない範囲で業務を効率化していく必要があるので、実務者への教育も欠かせないということです。

4:教育状況を把握すること=リスクの把握

このように、廃棄物処理業者は従業員教育を行っていない場合、大きなリスクを抱えているといえます。廃棄物処理業者のリスクは、そのまま排出事業者にとってもリスクです。

委託先で不法投棄、不適正処理があった場合には排出事業者の責任も同時に追求される場合がありますし、許可取り消しや事業停止処分になれば、廃棄物の処理が滞ってしまうことになります。

特にコロナ禍の現在では、処理施設を訪問しての実地確認も難しい状況です。実際の処理状況を目で見られないからこそ、どんな教育をしているのか?というヒアリングなどで、委託先の信頼性をはかる必要があるのではないでしょうか。

                                     

 



Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー

セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。