どうなる!?廃棄物処理法改正でリスクになりえる3つのポイント

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どうなる!?廃棄物処理法改正でリスクになりえる3つのポイント

※2017年1月10日執筆時点の情報です。
※現在の状況は環境省・行政等の公開情報をご参照ください。

環境省HP

2016年の12月20日、廃棄物処理法改正に関して、パブリックコメントの募集が始まりました。

パブリックコメントとは、専門家が議論した内容をまとめて、「こんな方向で廃掃法の改正考えてますけど、皆さんどうですか?」という投げかけがなされているわけですね。なので、この報告書を見ると、次の法改正内容がやんわりと見えてくるのです。

今回は、「廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)」(以下、「委員会報告書」)で挙げられている12の論点から、個人的に気になる3つを抜粋して、あくまで個人的見解ですが、ご紹介したいと思います。

リスクポイント1:マニフェストの活用

マニフェストの虚偽記載って本当に防げるの?

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これは、「委員会報告書」では「主な論点(2)」にあたり、愛知県の廃棄物横流し事件に関連して、かなり早い段階で話題に上っていた内容です。

簡単にまとめると、「電子マニフェストの虚偽記載防止機能を作ろう」「一部の排出事業者には、電子マニフェストの使用を義務化しよう」という内容です。

まず、虚偽記載防止機能ですが、「本当にできるのか?」というのが私の正直な感想です。

「委員会報告書」では、次のように書かれていますが、具体的にどのように“検知”するのかは特に書かれていません。

「具体的な対策としては、電子マニフェストシステム上での虚偽記載へ の対策を講じるため、電子マニフェストシステムへの不適正な登録・報告内容の疑いの検知や、関係業者への警告に資するよう同システムの改善を行う必要がある。」

廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)

そもそも、マニフェスト(正式名称:産業廃棄物管理票)はよくマニフェスト伝票とも呼ばれますが、本来の伝票類というものは、事実に基づいて交付し、取引の証拠となるものです。

マニフェストを見ても虚偽の記載がされているかどうかは分からない!

何が言いたいのかというと、発行された伝票のみを見たところで、「書式通り書かれているか」は分かったとしても「嘘を書いていないか」は分かるはずがないということです。

伝票の真偽は、事実と比較して初めて分かることであって、電子上に記録された内容を監視して画一的なプログラムに基づいて「このマニフェストは嘘に違いない!」なんてことが言えるとは思えないのです。

もしかすると、虚偽記載対策と言いつつ、実際の規制は「書式通り登録されているか?」をより強く監視するシステムになるのかもしれません。

書式通り登録することも大事ですが、実務にそぐわないレベルで細かな規制ばかりが入るのは避けたいところです。今回の改正によって排出事業者が面倒な思いばかりをして、結局虚偽記載は見つからない…ということはご勘弁いただきたいですね。

電子マニフェストの義務化でうっかり法令違反になるというリスク

ご存じのとおり現在の廃掃法では義務化されていない電子マニフェストの使用。それを「一部の排出事業者には、電子マニフェストの使用を義務化しよう」というのも、「本当にできるのか?」が正直な感想です。

「まずは、例えば、より適切な管理が求められる一定規模以上の特別管理産業廃棄物を排出する事業者に対し、マニフェスト制度の運用状況に係る総点検も踏まえつつ、電子マニフェストの使用の義務化を検討するとともに、特別管理産業廃棄物の処理を受託する産業廃棄物処理業者に対し、電子マニフェストの使用の義務化を検討すべきである。

廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)

「一定規模以上の特別管理産業廃棄物」がどのような形で線引きがされるのかわかりませんが、なんとなく複雑な基準が設けられそうな予感がします。

不明確な基準が法律違反を招く

いっそのこと、画一的に「○○年までに電子マニフェスト化すること!」となれば、厳しいながらもそちらの方がよいように思えます。

というのも、多量排出事業者の報告制度を設けた際もそうだったのですが、基準が明確でないと、排出事業者が戸惑うばかりではなく、うっかり廃掃法違反となってしまう事態になりかねません。

ここ数年、何度も「ウチは多量排出じゃないよ」と認識違いをされている方に、その旨をお伝えしてきました。

段階的な義務化は賛成ですが、複雑な基準を作る改正には賛成できません。PCB処理期限のよう期間を段階的に絞っていく方が、分かりやすくしっくりきます。

リスクポイント2:廃棄物処理施設設置許可等

小規模処理施設にも設置許可取得を義務化する方向

こちらは、「委員会報告書」では「主な論点(6)ウ」にあたります。簡単にいうと、小規模な処理施設を設置する際にも、許可の取得を義務にしよう!という改正です。

近年、産業廃棄物を処理する施設のうち、廃棄物処理法施行令(昭和 46 年 9 月 23 日政令第 300 号)第7条各号に規定されておらず、その設置 に際し許可を要しない施設についても、当該施設の立地や操業等に関して地域住民等に不安を与える事例が散見される

廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)

上記の理由から「廃棄物処理施設設置許可を必要とする施設の範囲について検討を進めるべきである。」と見直しの方向性を示しています。

現在の廃掃法ですと、基準以下の規模の処理施設では設置許可が不要です。そのため。自ら処理を行う際に、許可を取得することにハードルを感じ、許可が必要な規模を下回る施設を設置している事業者も多い思います。しかし、小規模の処理施設でも許可取得を避けることができなくなるかもしれません。

規制の仕方によっては一番影響が大きい改正項目かもしれません。
小規模施設も全て設置許可が必要ということになれば、自ら処理を行う際の大きなハードルになります。

ここも、まだ曖昧な部分が多いので今後の動向をチェックしたいところです。

リスクポイント3:親子会社間における自ら処理の拡大

親子会社間の自ら処理を“一部”許可する方針!
規制緩和はいいことばかりじゃない…

こちらは「主な論点(11)ア」にあたります。

現在の廃掃法では、子会社での処理は、別法人への“委託”と同様の扱いになり、業許可の取得、委託契約締結、マニフェスト交付等の規制を受けます。

親子会社間における処理委託や排出事業者責任については下記で詳しく解説しています。
御社は大丈夫?親子会社・グループ会社の排出事業者責任

「今までは「自ら処理」で構わなかったものが、工程は変わっていないのに、規制がかかるのはあんまりだ。なんとか今まで通りにさせてほしい」という要望は長年、ことあるごとに提出され続けていました。

「委員会報告書」には、こちらについて今後の方向性としてこのように書かれています。

親会社が子会社に対する十分な支配力を有しており、子会社があたかも親会社の一部門のような関係にある等の一定の要件に適合する場合に は、特例的に親会社と子会社を一体のものとして取り扱うための措置を検討する。 また、親会社と子会社を一体のものとして取り扱う場合には、環境上 適正な産業廃棄物の処理を推進する観点から、当該親子会社間における 排出事業者責任を共有することや、親子会社内外の廃棄物について明確化すること、親子会社に関する廃棄物のみを扱う場合に限ること、当該 状況が継続していることを定期的に確認すること等の措置が必要である。

廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)

単純な規制緩和というわけではなく、様々な条件が検討されるようです。

電子マニフェスト同様に、条件が曖昧で複雑なものになることを心配しています。

規制免除の基準が曖昧なことによるリスクと手間の増加

規制強化される際の対象基準が曖昧な場合には「ウチは対象じゃない」と思いこみやすくなりますが、逆に規制緩和される際には、規定が曖昧な場合には「ウチは免除対象だ」と思いこみやすくなります。

こちらの親子会社間の自ら処理を認めない規制については「うちは免除対象だ!」と思っていても実は対象だったというリスクが高いということです。

有価物の総合判断説のような状況に

明確に規制免除だと言える状況の方が少なく、グレーゾーンが広く存在するような状態になると、排出事業者としては不安が多いです。例えば有価物の総合判断説は、今まさにこうした状態で、明確な答えが無いのために、日々お悩みかと思います。

なんだか、廃掃法がどんどん複雑になっていく気がします…。
これも、規制しても規制しても事件が無くならないので、仕方のないことなのかもしれませんが、複雑な法の規制に忙殺される状況も問題だと思うのです。

パブリックコメントは2017年1月19日まで受け付けています。

改正の方向に思うところがあれば、意見を提出してみるのも一つの手ではないでしょうか?

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Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー

コンサルタントとしての活動で実績を積む傍ら、セミナーインストラクターとして数々のセミナーを担当。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。 対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。