【法改正】「水銀含有ばいじん」に注意が必要な排出事業者と不要な排出事業者

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【法改正】「水銀含有ばいじん」に注意が必要な排出事業者と不要な排出事業者

廃掃法における水銀の取扱が2016年の4月の改正されました。これによって定められた基準に該当するものは特別管理産業廃棄物(以下、特管)として扱うことが定められました。

このあたりは【水銀に関する法改正】排出事業者向けQ&Aで、解説しています。

上記コラムの執筆時には定まっていないことが多くありました。今回はその中でも、水銀含有ばいじんについて言及していきたいと思います。

保留にされていた新しい“基準”が動く

業許可の基準と「水銀使用製品産業廃棄物」の該当基準

水銀含有ばいじんの詳しい解説の前に、どんな項目が定まっていなかったかのおさらいをしていきます。

2016年4月の改正で特管の対象となったものは、当然特管の許可を得た処理会社に委託しなければならなくなりました。しかし、「特管の水銀を処分する為の基準」が定まっていなかったために、従来の特管基準(※)を暫定的に使っていました。この暫定基準で許可取得をした企業が現在、特別管理産業廃棄物「廃水銀等」を取り扱う処理業者です。

さらに、水銀が使われているが、特管基準に該当しない場合も「水銀使用製品産業廃棄物」等として、普通産廃の中でも新基準を定めて特別な扱いをするということも予定として定められていました。そんな、水銀独自の新基準は「平成29年10月施行予定の改正で整備します。」と言われていたんですね。

(※ 従来、水銀を含む特管廃棄物の業許可は、水銀(普通産廃)を処理できるかどうか、特管廃棄物の共通基準をクリアしているかどうかを行政が確認して、認めていました。2016年4月の改正では、この基準に基づいて許可の更新が行われました。)

現在はパブリックコメントが終わり、公布を待つばかり

そして、保留になっていた新基準が概ね固まってきました。

現在、改正案のパブリックコメントが終わり、公布を待つばかり、という状態です。そのため、今回のコラムでは、パブリックコメントに使われた資料に、公布時点で大幅に変更がないという前提のもと、解説していきます。

改正案には、上記の特管処分の新基準、現状の石綿含有廃棄物のように、普通産業廃棄物の中でも特別な扱いをしなければならない廃棄物として規定される「水銀使用製品産業廃棄物」等の基準等がそれぞれ定められています。こちらでは、「水銀含有ばいじん」に絞って取り上げますが、改正内容は多岐にわたりますので、ぜひ、環境省から発表されている「『廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令案』等の概」を確認してみてください。

ばいじんに要注意!その理由は、2つの基準と保管上限

普通産廃でも「水銀含有ばいじん」だけ特別扱い

改正案の中に「水銀含有ばいじん等の対象(規則新設条項関係)」があります。上記でお伝えした「水銀使用製品産業廃棄物」と同様に、「水銀含有ばいじん等」という普通産廃の中でも特別な品目設定をして対応するということになります。

水銀含有ばいじんに関する2つの基準

どのようなものが水銀含有ばいじん等になるのかというと、その基準は以下のように記載されています。

水銀含有ばいじん等の対象(規則新設条項関係)

改正令第6条第1項第2号ホにおいて、水銀又は水銀化合物が含まれているばいじん、燃え殻、汚泥、廃酸、廃アルカリ又は鉱さいでのうち環境省令で定めるものを「水銀含有ばいじん等」と定義し、通常の産業廃棄物の処理基準に加えて追加的な処理基準を課すこととしており、「水銀含有ばいじん等」の対象を以下のとおり定めることとする。

● 水銀又はその化合物中の水銀をその重量の 15mg/kg を超えて含有するもの(廃水
銀等(特別管理産業廃棄物)及び従来の水銀を含む特別管理産業廃棄物を除く。)

※ 「水銀含有ばいじん等」について産業廃棄物収集運搬業、産業廃棄物処分業、産業廃棄物処理施設の許可においてその取扱いを明らかにすること、委託契約書及びマニフェストへの記載を義務づけることも措置する(2-2.(10) 参照)。廃棄物データシート(Waste Data Sheet)への記載を求めることについては、「廃棄物情報の提供に関するガイドライン(平成 25 年 6 月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部)」の改正により対応予定。

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」等の概要

水銀含有ばいじん等については、「産業廃棄物処理施設の許可においてその取扱いを明らかにすること」と記載されていますので、水銀が15mg/kg以上含有するばいじんに関しては、専用の許可を持った業者にしか委託できなくなります。

さらに、水銀を「1,000㎎/㎏以上含有するばいじん」は、ばい焼等の方法により、あらかじめの水銀の回収をして処分又は再生をしなければならないとも記載されています。

表にすると以下の通りです。
水銀含有ばいじんの取り扱いで改正のあった部分

「水銀含有ばいじん」は、普通産廃の中でも特別な許可が必要で、その種類は2段階になりそうですね。複雑なので、注意が必要です。

改正スケジュールの遅れにより、数カ月のばいじんの保管が必要になる可能性!

さらに、注意が必要な点があります。それは時期です。

施行予定日が平成29年10月と決定しているのも関わらず、いまだに新しい法律が公布されていないところを見ると、恐らく改正スケジュールは押していると考えられます。

すると次のようなことが起こると想定できます。

今から急いで公布し、半年後に施行!となったとしても、地方行政の対応が追いつかない可能性があります。前回改正の時も、施行後、すぐに地方行政による新しい許可が下りず、中々処理が出来ないという声を多く聞きました。

そして、今回、なぜ多岐にわたる改正内容からばいじんに焦点を当てたかというと、保管の問題です。水銀試薬や、水銀を使用した機器などは、あまり広い保管場所を必要とせず、許可が下りず、処理まで数ヶ月かかる場合でも、「じゃあ、しばらく置いておくか」と比較的容易に処理を待つことができました。

しかし、ばいじんを何ヶ月も保管し続けることが出来るでしょうか?かなり早いタイミングで保管上限が来てしまうと考えられます。

まずは、ばいじんの水銀含有値が15㎎/㎏以下かどうかの確認を!

行政の対応がどれくらいの速さで行われるかは分かりません。

まずは、自社のばいじんが含有基準を上回っていないかを確認されることをおすすめします。2つの基準や期限の問題等がありますが、裏を返せば、15㎎/㎏以下であれば一安心です。

Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー

コンサルタントとしての活動で実績を積む傍ら、セミナーインストラクターとして数々のセミナーを担当。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。 対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。