【法改正】今回の通知で発覚した2点の読み間違い

【法改正】今回の通知で発覚した2点の読み間違い

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【法改正】今回の通知で発覚した2点の読み間違い

3月16日、環境省から「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律等 の施行について(通知)」が発表されました。

こちらの通知を読むと、今まで発表されてきた法令・政令・省令や、その解説資料から、私が個人的に解釈していた内容と少し異なる部分がありました。

個人的解釈は、コラムや様々なセミナーでお話しさせていただいていた内容です。
私の外してしまった予想を元に、対応されているご担当者様がいらっしゃっては申し訳ないため、取り急ぎ訂正させていただきます。

1.電子マニフェスト義務化について

1点目は、電子マニフェスト義務化が適応される廃棄物の範囲についてです。

【予想】:特管50t以上排出する事業場から発生するすべての廃棄物について、マニフェストを電子化しなければならない?
 【正】:特管50t以上排出する事業場から発生する特管廃棄物のみについて、マニフェストを電子化しなければならない。

▼ 電子マニフェスト義務化の対象者


引用:環境省:廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令案等に対する意見の募集について 資料

今まで明らかになっていた情報では、義務化の対象者は「特管を50t以上(前々年度実績)排出」が条件であったものの、対象となる廃棄物の範囲が明確に書かれていなかったので、「すべての廃棄物が対象になる可能性がある」とお伝えしておりました。

しかし、今回の通知では以下のように明確に限定されました。

電子情報処理組織使用義務者が特別管理産業廃棄物(ポリ塩化ビフェニル廃棄物 等を除く。)以外の産業廃棄物の処理を他人に委託する場合、当該産業廃棄物については電子マニフェストの使用の義務対象とならないこと。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律等の施行について(通知)

2.グループ会社間の自ら処理拡大について

2点目は、グループ会社間の自ら処理拡大に関して、認定の対象となる範囲についてです。

【予想】:認定を受ければ、グループ会社間の置場共有なども可能?
 【正】:自ら運搬や処分をせず、保管のみの認定は認められない。

▼ グループ会社間の自ら処理拡大の認定範囲

引用:環境省:廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令案等に対する意見の募集について 資料

「認定グループ外の者に当該産業廃棄物の処理を委託する場合は、当該認定グループが共同して、委託を行うとともに、マニフェストを交付すること。」という文言に着目し、「外部委託でもまとめていいのだろうか?しかし、自ら処理拡大に関しての改正だしな」と考えていた部分です。

こちらも通知で以下のように明確に記載されました。

保管のみを行う場合など、収集、運搬又は処分のいずれも行わない場合は、認定の対象とならないこと

廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律等の施行について(通知)

あくまで、自ら運搬、処分をすることが前提で、その後の自ら運搬後の処分や、自ら処分後の残渣物などを委託する場合には、マニフェスト等の委託基準は発生するということです。

大事なのは、明確化した内容に対して、正確に対応すること

今回の点に関しては、私自身、曖昧な部分を予測で補っている自覚がありましたので、パブリックコメントを提出しておりました。パブリックコメントの回答にも、上記の見解に沿った内容が掲載されています。

「グループ会社間の自ら処理拡大について」の通知は、結果的に多くの排出事業者様ががっかりしてしまう内容であったかもしれません。

今回は予測が外れてしまいましたが、「悪い報告ほど早いほうがいい」はビジネスの鉄則です。「保管のみの認定はされない」という情報も、ひとつの有益な情報です。

「どこまで認められるのか?」を明確に理解したうえで、認定取得を検討することがよいのではないかと思います。

また、電子マニフェスト義務化に関しては「電マニの使用が困難な場合の定義」など、引き続き曖昧な部分が残ります。この部分は、パブリックコメントでも「個別具体的な状況に応じて判断されるべきもの」と回答がありました。

私自身、排出事業者様から様々な事例の相談をいただきますので、都度行政へ問い合わせ等を行うなかで、少しずつ行政の判断の線引きが見えてくと想定しています。

▶参考:環境省「平成29年改正廃棄物処理法について」

Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー

セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。