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購入した土地から廃棄物が出てきたら誰の責任か──“廃棄物混じり土”のリスクと不法投棄の罰則

基準時点:令和8年7月現在(最終更新:令和8年8月4日)

土地の購入・売却や工事に伴う掘削で、地中から廃棄物が出てくることがあります。掘り起こした後の対応を誤れば不法投棄になりかねず、売買では撤去費用の負担をめぐって争いになることもあります。本コラムでは、こうした“廃棄物混じり土”に遭遇したときの法的な注意点と、買主・売主それぞれの備えを整理します。

結論
購入した土地から埋設廃棄物(いわゆる“廃棄物混じり土”)が見つかった場合、買主と売主のどちらかが一律に責任を負うわけではありません。売買契約上の費用負担は、契約内容・売主の説明・埋設物の状態等により個別に判断されます。
一方で、掘り起こした物が廃棄物に該当する場合、それを処理基準に従わずに埋め戻すなど不適正に扱う行為は、不法投棄(廃棄物処理法〔廃掃法〕第16条違反)と判断される可能性があります。
廃掃法では、不法投棄に対して同法の中でも重い部類の罰則が定められており、個人は5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(またはその併科)、法人は3億円以下の罰金の対象となり得ます(第25条第1項第14号、第32条)。

この記事で分かること

以下では、次の点を順に整理します。

  • “廃棄物混じり土”とは何か、なぜ「出土=不法投棄の現場」とは限らないのか(制度改正前の“ミニ処分場”)
  • 掘り起こした物を不適正に埋め戻すと不法投棄になりうる理由と、廃掃法上の罰則(第16条・第25条・第32条)
  • 埋設廃棄物のある土地を売買するときの、買主・売主それぞれの注意点
  • 掘り起こさずに対応する「未掘削存置型」という方法

“廃棄物混じり土”とは何か──遭遇しうる場面

“廃棄物混じり土”とは、土砂の中に廃棄物が混ざり込んでいる状態の土をいいます。法律上明確に定義された用語ではなく、報道では「産廃土」「ごみ混じりの土砂」等々さまざまに呼ばれますが、公共建設工事向けの実務マニュアル等でも「廃棄物混じり土」の呼び方が用いられており、本コラムでもこの呼称で統一します。

土地の掘削や建設工事の際に、廃棄物混じり土に遭遇することがあります。土地の所有者、購入者、工事業者、廃棄物処理業者等が、それぞれの立場で関わる可能性があります。以下では、その背景と対処の考え方を整理します。

土地から廃棄物が出てきたら、必ず不法投棄の現場なのか?

必ずしもそうではありません。過去の不法投棄に由来する可能性もありますが、平成9年(1997年)の制度改正以前に、最終処分場の設置許可・届出の対象となる規模に満たなかった小規模な埋立地、いわゆる“ミニ処分場”に由来する可能性もあります。

現在は、廃棄物を埋め立てる最終処分場は、規模の大小にかかわらず設置許可・届出の対象です。規模要件を撤廃してすべての最終処分場を設置許可・届出の対象とした政令(平成9年政令第269号)は、平成9年8月29日に公布され、同年12月1日に施行されました(環境省公表資料)。この施行以前は、規模要件に満たない埋立地は設置許可・届出の対象外でした。

ここで注意したいのは「対象外だった」ことはあくまで設置許可・届出が不要であったという意味であり、当時の埋立が他の処理基準等も含めて全面的に適法だったことまでを示すものではない点です。なお、制度改正前の埋立地については、設置時期や埋立の実態によって、処理基準や技術基準の適用関係が異なります。個別の土地については、当時の制度・埋立時期・埋立物の性状を分けて確認する必要があります。

こうしたミニ処分場については、当時の制度上、設置許可・届出の記録が残っていない場合があります。そのため、「購入した土地が、かつてのミニ処分場だった」というケースが起こり得ます。

掘り起こした“廃棄物混じり土”を不適正に埋め戻すと、不法投棄になりうるのはなぜか

掘り起こした物が廃棄物に該当する場合、それを処理基準に従わずに元の場所へ埋め戻すと、不法投棄(廃掃法第16条違反)と判断される可能性があります。過去の埋立行為の適法性と、現在新たに行う掘削・埋め戻し行為の適法性は、分けて判断する必要があります。

そのため、廃棄物混じり土に遭遇した場合「もともと埋まっていたものだから」と自己判断で埋め戻すのは避け、掘り起こした物が廃棄物に該当するかを確認したうえで、廃掃法に沿った取扱いを検討する必要があります。なお、後述する「未掘削存置型」は、そもそも掘り起こさずに存置する対応であり、掘り起こした物を埋め戻す行為とは区別されます。

投棄した量について一律の最低基準が定められているわけではなく、少量であっても、行為の内容によっては投棄禁止違反となる可能性があります。

不法投棄の罰則(廃掃法)

  • 根拠:廃掃法第16条(投棄禁止)/罰則は第25条第1項第14号、法人の両罰規定は第32条
  • 個人:5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科
  • 法人:3億円以下の罰金

※「拘禁刑」は、令和7年6月1日施行の改正刑法で「懲役」「禁錮」を一本化した刑名です(同日以後の犯罪に適用)。

掘り起こさずに対応する方法はあるのか──「未掘削存置型」という選択肢

条件次第では、掘り起こさずにそのまま地盤として活用する「未掘削存置型」という選択肢があります。

公共建設工事を対象とした(一財)土木研究センター発行の「建設工事で遭遇する廃棄物混じり土対応マニュアル」では、調査やリスク評価の結果に応じた対策の一つとして、掘り出さずに地盤として活用する「未掘削存置型」が示されています。有害物質が検出されない等、土地の使用に支障が生じるおそれのない場合に、必要な対策をとったうえでそのまま利用する、という方法です。

未掘削存置型を採用する場合は、土地の用途や将来の計画、再掘削の可能性等も踏まえて検討することになります。具体的な適用条件は、マニュアルの最新版で確認する必要があります。

掘り起こした廃棄物の処理には、どれくらいの費用がかかるのか

埋設廃棄物を掘り起こして処分する場合は、掘削・分別・分析・運搬等の工程が必要になるため、廃棄物の種類や量、土地の規模、近くに適正処理できる施設があるか等の条件によっては、費用が高額になることがあります。土砂と混ざって分別が難しい状態であれば、そのぶん手間も費用もかさみます。

埋設廃棄物のある土地を売買するときの、買主・売主の注意点

埋設廃棄物のある土地の売買では、買う側・売る側それぞれに注意すべき点があります。

立場 確認・対応のポイント 怠った場合に想定されること
土地を買う側 購入前に埋設廃棄物の有無を確認する。判明している場合は、事前処理を求めるか、売買価格への反映(減額)を協議する。 取得後に多額の撤去・処理費用を負担することになりかねない。
土地を売る側 把握している埋設廃棄物は、契約締結前に買主へ開示し、撤去・費用負担・価格への反映を協議する。 こうした情報共有が不十分なまま売買が進むと、後にトラブルや訴訟に発展するおそれがある。

実務では「そもそも廃棄物が埋まっていることを知らなかった」というケースも少なくありません(担当者交代等の事情もあります)。自社または関係者が過去の埋立に関与した可能性がある場合は、土地の利用履歴や工事記録等を調査し、対応を検討することが必要です。

誰がいつ埋めたかを特定できない場合でも、売買契約の内容や当事者の説明状況等に基づいて、当事者間の協議や裁判で費用負担が判断されることがあります。また、売却後に不適正な処理が行われた場合は、実際に処理を行った者や処理を指示した者等が、行為の内容に応じて責任を問われる可能性があります。

参考事例:土地の埋設物をめぐる賠償

たとえば、購入した土地から石綿(アスベスト)を含むスレート片が多数見つかり、土地の売主に対して撤去費用等として数十億円規模の賠償を命じる判決が確定した事例があります(平成31年に最高裁で売主側の上告が退けられ、高裁判決が確定したと報じられています)。この事案は、廃棄物処理法上の責任ではなく、売買契約上の瑕疵担保責任等(当時の民法)をめぐって争われたものです。

報道・信用リスクの観点──説明できる記録を残す

埋設廃棄物への対応が訴訟や報道に発展した場合、法的な責任とは別に、企業の信用に影響することがあります。

たとえば、売主が費用を負担し、売却後に買主が不適正な処理をした場合、その処理について責任を問われるのは、実際に処理を行った者等です。こうした点も踏まえ、対応の経緯や判断根拠(調査結果、自治体との協議内容、処理記録等)を説明できるよう記録しておくことが大切です。

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よくある質問(FAQ)

Q. 購入した土地から廃棄物が出てきました。過去に不法投棄があったということですか?
A. 必ずしもそうとは限りません。平成9年12月1日に施行されるまでは、一定規模に満たない埋立地は最終処分場の設置許可・届出の対象外でした。そのため、掘削で出てくる埋設廃棄物には、過去の不法投棄だけでなく、こうした小規模な埋立地(ミニ処分場)に由来するものもあります。ただし「対象外だった」ことは、当時の埋立が全面的に適法だったことまでを意味するわけではありません。

Q. 掘り起こした廃棄物を、元の場所に埋め戻しても良いですか?
A. 掘り起こした物が廃棄物に該当する場合、処理基準に従わずに埋め戻すと、不法投棄(廃掃法第16条違反)と判断される可能性があります。過去の埋立行為の適法性と、いま新たに行う掘削・埋め戻しの適法性は分けて判断されます。自己判断で埋め戻すのではなく、その物が廃棄物に該当するかを確認し、廃掃法に沿った取扱いを検討する必要があります。

Q. 不法投棄にはどのような罰則がありますか?
A. 廃掃法では、不法投棄(第16条違反)に対して、個人は5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(またはその併科)(第25条第1項第14号)、法人は3億円以下の罰金(第32条)が定められています。投棄した量について一律の最低基準は定められておらず、少量でも対象になり得ます。

Q. 埋設廃棄物のある土地を買う側・売る側は、それぞれ何に注意すべきですか?
A. 買う側は、購入前に埋設廃棄物の有無を確認し、判明している場合は事前処理や売買価格への反映(減額)を協議することが必要です。売る側は、把握している埋設廃棄物を契約締結前に買主へ開示し、撤去・費用負担・価格への反映について協議することが必要です。こうした情報共有が不十分なまま売買が進むと、後にトラブルや訴訟に発展するおそれがあります。

Q. 掘り起こさずに対応する方法はありますか?
A. 「未掘削存置型」という方法があります。有害物質が検出されない等、土地の使用に支障が生じるおそれのない場合に、必要な対策をとったうえで、そのまま地盤として活用する方法です。公共建設工事を対象としたマニュアルで、調査・リスク評価を経た対策の一つとして示されており、具体的な適用条件は最新版で確認する必要があります。適用可否は、土地の用途、廃棄物の性状、有害物質の有無、地盤条件、自治体との協議等により個別に判断が必要です。

※本記事は令和8年7月現在の情報に基づきます。法令の解釈・運用は今後変わる可能性があるため、個別の判断は管轄の地方運輸局・自治体にご確認ください。

 
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Takeshi Sato

環境コンサルティング事業部

チーフマネージャー

セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。

Takeshi Sato