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業務用エアコン等のフロン機器を廃棄するとき、管理者は何をすれば良いのか──行程管理票・引取証明書・再生/破壊証明書の実務

基準時点:令和8年7月現在(最終更新:令和8年8月7日)

業務用エアコンや冷凍・冷蔵機器を廃棄するとき、フロン類を回収せずに(または回収を確認できないまま)処分すると、法律違反につながりかねません。フロン排出抑制法(フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律)は、機器の管理者に対し、フロン類の適正な回収と、行程管理票の交付・保存、引取証明書の受領・保存などを求めています。この記事では、廃棄時に管理者がやるべきことを、書面の種類と流れに沿って整理します。

結論

フロン機器(第一種特定製品)を廃棄する管理者(フロン排出抑制法上の「第一種特定製品廃棄等実施者」)は、フロン類を第一種フロン類充塡回収業者に引き渡して回収してもらい(または引渡受託者に充塡回収業者への引き渡しを委託し)、行程管理票を交付・保存したうえで、回収後に引取証明書の交付または送付を受けて3年間保存する必要があります。

引取証明書が期限内に交付・送付されない、または必要事項の欠落・虚偽がある場合は、都道府県知事への報告が必要です。

この記事で分かること

  • フロン類の引き渡し方法は「充塡回収業者に直接引き渡す」「引渡受託者に委託する」の主に2通りがあること
  • 廃棄時に交付する書面(回収依頼書/委託確認書/再委託承諾書)=行程管理票の役割と、引き渡し方法による名称の違い
  • 引取証明書が来ない・不備がある場合の対応と期限(原則30日以内、建物解体に伴う場合は90日以内)、および行程管理票の写し・引取証明書の3年保存
  • 見落としがちな再生証明書・破壊証明書の役割と、管理者への回付の流れ

フロン類の引き渡し方法は主に2つ──「直接引き渡す」か「委託する」か

第一種特定製品を廃棄するとき、フロン類を第一種フロン類充塡回収業者に引き渡す方法は、大きく分けて2通りあります(機器にフロン類が充塡されていないことを充塡回収業者が確認した場合を除きます)。

①第一種フロン類充塡回収業者に直接引き渡す方法
第一種フロン類充塡回収業者(都道府県知事の登録を受けた業者)にフロン類を直接引き渡して回収してもらう方法です。回収後の機器本体が残るため、機器は別途、廃棄物処理業者やリサイクル業者(第一種特定製品引取等実施者)に引き渡す必要があります。

②引渡受託者に、充塡回収業者への引き渡しを委託する方法
充塡回収業者の登録を持たない設備業者・解体業者・販売業等である第一種フロン類引渡受託者(以下、引渡受託者)に、第一種フロン類充塡回収業者へのフロン類の引き渡しを委託する方法です。実務上は機器ごと引き渡す形になりますが、法律上は「充塡回収業者への引き渡しの委託」にあたります。

どちらの方法でも、後述する行程管理票の交付と保存が管理者に求められます。

廃棄時に交付する書面は何か──引き渡し方法で名称が変わる

廃棄時に管理者が交付する書面は、フロン類を誰に引き渡すかによって名称が異なりますが、記載内容と交付の流れはほぼ同じで、これらを総称して「行程管理票」と呼びます。

  • 第一種フロン類充塡回収業者に直接引き渡す場合 → 回収依頼書を交付する
  • 引渡受託者に委託する場合 → 委託確認書を交付する
  • 引渡受託者が、充塡回収業者への引き渡しを他の者に再委託する場合 → 上記に加えて再委託承諾書を交付する

 
行程管理票は、廃棄物のマニフェストと同じように、フロン類が適正に回収・処理される流れを書面で管理するための仕組みです。管理者は、交付した回収依頼書・委託確認書・再委託承諾書の写しを、いずれも3年間保存する必要があります。

表1:引き渡し方法と交付する書面

引き渡し方法

交付する書面

主な交付先

充塡回収業者に直接引き渡す

回収依頼書

第一種フロン類充塡回収業者

引渡受託者に委託する

委託確認書

引渡受託者(設備業者・解体業者等)

引渡受託者がさらに再委託する

上記に加えて再委託承諾書

再委託を行う引渡受託者

行程管理票はどのように流れるのか

一般的に用いられる行程管理票(回収依頼書・委託確認書・再委託承諾書)は複写式になっており、管理者・引渡受託者・第一種フロン類充塡回収業者の間で交付・回付されます。JRECO(一般財団法人日本冷媒・環境保全機構)が法定事項を満たした様式を任意で発行しており、広く使われています(様式は法定事項を満たしていれば任意です)。

なお、JRECOの複写式様式では各書面にA票などの記号が付されていますが、記号や綴りの構成は様式(推奨版・汎用版)によって異なるため、本記事では様式によらず共通する書面の名称で説明しています。

回収後のフロン類を再生・破壊する段階では、行程管理票とは別に、後述する再生証明書・破壊証明書に関する書面のやり取りが行われます。

引取証明書が交付や送付がされない・不備がある等の場合どうすればいいのか

フロン類の回収が終わると、第一種フロン類充塡回収業者から管理者に引取証明書が交付または送付されます。管理者はこの引取証明書を3年間保存しなければなりません。

管理者は、次のいずれかに当てはまる場合、速やかに、都道府県知事にその旨を報告する必要があります。

  • 回収依頼書または委託確認書を交付した日から30日以内(建物等の解体工事に伴い委託確認書を交付する場合は90日以内)に、引取証明書の交付・送付を受けられなかったとき
  • 交付・送付を受けた引取証明書に、必要な事項が記載されていないとき
  • 交付・送付を受けた引取証明書に、虚偽の記載があるとき

 
報告は、交付した回収依頼書または委託確認書の写しを都道府県知事に提出して行います。具体的な報告様式や提出方法は、管轄の都道府県に確認してください。「証明書が来ないまま放置する」ことは管理者の義務違反につながるため、期限を意識して確認することが重要です。

見落としがちな「再生証明書」「破壊証明書」

フロン類は回収されただけで終わりではありません。回収されたフロン類は、第一種フロン類再生業者よって再生またはフロン類破壊業者によって破壊されます。これにより、回収されたフロン類の再生または破壊が完了します(機器本体の処分は、前述のとおり別途の手続きです)。

再生業者・破壊業者は、それぞれ再生証明書または破壊証明書を第一種フロン類充塡回収業者に送付し、充塡回収業者はその写しを3年間保存するとともに、管理者に回付します。再生・破壊業者側に独自の証明書様式がない場合には、JRECOが提供する「フロン類再生・破壊管理票」が用いられるのが一般的です。

これらの再生証明書・破壊証明書について、管理者に法令上の保存義務は定められていません(回付されたら、適正処理を確認する記録として保管しておくことが実務上有用です)。また、フロン類を再生・破壊業者以外の一定の相手(都道府県知事が認める者等)に引き渡す場合は、証明書が回付されないケースもあります。

整理すると、管理者に保存義務がある書面と、回付はされるが法令上の保存義務がない書面があります。

表2:主な書面と保存義務(誰が・何年)

書面

保存する人

保存期間

回収依頼書・委託確認書・再委託承諾書の写し

管理者

3年間

引取証明書

管理者

3年間

再生証明書・破壊証明書(写し)

第一種フロン類充塡回収業者

3年間

再生証明書・破壊証明書

管理者

法令上の保存義務なし

機器をリサイクル業者や処理業者に引き渡すとき、何が必要か

フロン類だけを充塡回収業者に引き渡した場合、回収後の機器本体が手元に残ります。これをリサイクル業者や処理業者(第一種特定製品引取等実施者)に引き渡すとき、引き取る側は、原則として引取証明書の写しの交付等を受けてからでなければ機器を引き取ることができません(フロン類が充塡されていないことを示す確認証明書の写し等による場合もあります)。

これは、フロン類を回収しないまま機器が処理行程に乗り、大気中にみだりに放出される事態を防ぐための仕組みです。必要な書面を交付できないと、リサイクル業者や処理業者への引き渡し手続きが進められないことがあります。証明書の受け取りと保管を確実に行うことが、機器の適正な処分にもつながります。

なぜ廃棄時の行程管理票が「行方不明」になるのか──現場でよくあるつまずき

イーバリューが製造現場の設備管理やシステム運用を支援するなかでは、後から機器の廃棄記録を確認しようと工程管理表の提示をお願いしても、廃棄時の行程管理票が見つからないことがあります。

こうした事態は、管理部門から独立して各製造部門が個別に設備を管理している組織で起こりやすい傾向があります。また、埋め込み型の空調機のような大型設備よりも、スポットクーラーや冷水機といった小型機器で起こりやすいのが実務上の特徴です。小型機器は、不具合が起きたときに現場の判断で更新が決まり、新しい機器への入れ替えに合わせて旧機器の廃棄を現場から直接業者に依頼してしまうことがあるためです。

このとき、現場の担当者がフロン排出抑制法の手続きに慣れていないと、回収依頼書等を交付しないまま行程管理票が一式揃わない状態になったり、業者主導で行程管理票が交付されても重要性が理解されず、保管されないまま紛失・破棄されたりします。結果として、後から管理部門が機器の更新に気づいて廃棄時の行程管理票を確認しようとしても、現場からは事情が分からないという返答になりがちです。

これを防ぐには、行程管理票の重要性を現場まで浸透させることが理想ですが、現実にはハードルが高いのも事実です。最低限の対策として「機器を更新・廃棄するときは、まず管理部門の指示を仰ぐ」という手順を社内で明確にし、現場任せにしないことが有効です。

フロン機器廃棄の書面管理に不安がある方へ

フロン機器の廃棄は、法律上の書面(行程管理票や引取証明書など)を正しく交付・保存し、期限内の確認・報告を漏らさないことが求められます。書面の種類が多く、引き渡し方法によって手続きが変わるため、実務では「どの書面をいつまでに、誰に交付し、保存すれば良いのか」が分かりにくくなりがちです。

自社の機器廃棄でどの書面が必要になるか、証明書が届かないときの対応をどう仕組み化するか──こうした廃棄物・フロン管理体制の設計や点検については、イーバリューにご相談いただけます。

よくある質問(FAQ)

Q. フロン機器を廃棄するとき、管理者は何をすれば良いですか?
A. 業務用エアコンや業務用の冷凍・冷蔵機器(第一種特定製品)を廃棄する管理者は、フロン排出抑制法に基づき、フロン類を第一種フロン類充塡回収業者に引き渡して回収してもらう(または引渡受託者に充塡回収業者への引き渡しを委託する)とともに、行程管理票(回収依頼書または委託確認書)を交付して写しを保存し、回収後に引取証明書の交付または送付を受けて3年間保存する必要があります。

Q. 引取証明書が届かないときは、どうすれば良いですか?
A. 回収依頼書または委託確認書を交付した日から30日以内(建物等の解体工事に伴い委託確認書を交付する場合は90日以内)に引取証明書が交付・送付されない場合や、交付・送付を受けた引取証明書に必要事項の欠落・虚偽がある場合は、速やかに都道府県知事に報告する必要があります。報告は、回収依頼書または委託確認書の写しを提出して行います。

Q. 回収依頼書と委託確認書は、どう使い分けますか?
A. 第一種フロン類充塡回収業者にフロン類を直接引き渡す場合は「回収依頼書」を交付します。引渡受託者に充塡回収業者への引き渡しを委託する場合は「委託確認書」を交付します。引渡受託者が充塡回収業者への引き渡しを他の者に再委託する場合は、加えて「再委託承諾書」が必要です。

Q. 再生証明書・破壊証明書とは何ですか。行程管理票とは違うのですか?
A. 回収されたフロン類は、再生業者または破壊業者によって再生・破壊されます。再生業者・破壊業者は再生証明書・破壊証明書を第一種フロン類充塡回収業者に送付し、充塡回収業者がその写しを保存したうえで管理者に回付します(再生・破壊業者に独自様式がない場合はJRECOの「フロン類再生・破壊管理票」が用いられるのが一般的です)。回収までを管理する行程管理票とは別の書面です。

Q. フロン機器の書面は、どれくらい保存する必要がありますか?
A. 管理者は、交付した行程管理票(回収依頼書・委託確認書・再委託承諾書)の写しと、交付・送付を受けた引取証明書を、いずれも3年間保存する必要があります。なお、再生証明書・破壊証明書については、管理者に法令上の保存義務はありません。

Q. 廃棄した機器の行程管理票が見つからないと、どうなりますか?
A. 管理者には、交付した行程管理票の写しや引取証明書を3年間保存する義務があります。特に、現場判断で小型機器を廃棄したケースでは、書面が一式揃わない・紛失するといったことが起こりがちです。当社の支援現場でも、後から確認しようとして行程管理票が見つからないといったケースがみられます。機器の更新・廃棄のときは、まず管理部門の指示を仰ぎ、現場任せにしないことが有効です。

Takeshi Sato

セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。

Takeshi Sato