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2019年PCB関連法改正で何が変わったのか?──可燃性PCB汚染物等の処理区分と焼却施設の認定拡大を解説

基準時点:令和8年7月現在(最終更新:令和8年8月7日)

PCB廃棄物の処理は、濃度や性状によって委託できる施設が限られ、処分期限も年々近づいています。
こうしたなか、2019年(令和元年)の法令改正では、可燃性PCB汚染物等について無害化処理認定施設等で処理できる範囲が広がり、排出事業者が選べる処理先が増えました。
本コラムでは、この改正で何が変わったのかを整理したうえで、選択肢が広がる一方で、これまで以上に重要になる委託先確認のポイントを、排出事業者の実務に照らして解説します。

結論
PCB特措法(ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法)等のPCB関連法について、2019年(令和元年)12月20日、PCB廃棄物処理基本計画の変更と関係法令等の改正が行われ、可燃性PCB汚染物等の処理区分が見直されました。
この改正により、従来は高濃度側として扱われていたPCB濃度0.5%超10%以下(5,000~100,000mg/kg)の可燃性PCB汚染物等が無害化処理認定施設等で処理できる対象に加わり、合わせて燃焼ガス温度850℃以上の焼却施設も無害化処理認定の対象となったことで、排出事業者の処理先の選択肢が広がっています。
ただし、実際に委託できるかどうかはPCB濃度・性状・所在地や施設の認定範囲・受入条件によるため、案件ごとの確認が必要です。
なお、可燃性PCB汚染物等を含む低濃度PCB廃棄物の処分期限は2027年(令和9年)3月末で、本記事はその期限を見据えて改正の内容と排出事業者への影響を実務に照らして整理したものです。

この記事で分かること

  • 2019年改正で、可燃性PCB汚染物等のうちPCB濃度0.5%超10%以下が無害化処理認定施設等の処理対象に追加されたこと
  • 処理区分が見直された対象は「PCB機器」ではなく「PCB汚染物」であること、および高濃度と低濃度で処理の仕組みが異なること
  • 燃焼ガス温度850℃以上の焼却施設も無害化処理認定の対象に加わり、処理先となる認定施設が広がったこと
  • 処理先の選択肢が増える一方で高まる、委託先の許可・認定範囲や処理条件を案件ごとに確認する重要性
  • 高濃度PCB廃棄物のJESCO処理事業の2026年3月終了と、低濃度PCB廃棄物の処分期限2027年3月末

PCB関連法の改正で何が変わったのか?

2019年12月20日、可燃性PCB汚染物等を無害化処理認定施設等で処理できる対象に加えるため、PCB廃棄物処理基本計画の変更と関係法令等の改正が行われ、可燃性のPCB汚染物等の処理区分が見直されました。この改正は、PCB濃度0.5%超10%以下(5,000~100,000mg/kg)の可燃性PCB汚染物等の処理体制を構築することを目的としたもので、無害化処理認定施設での焼却実証試験の結果を踏まえて行われたものです。

改正の柱は、大きく分けて2つあります。1つ目は可燃性PCB汚染物等の処理区分の見直し、そして2つ目は焼却施設の無害化処理認定の対象拡大です。ここからはそれぞれのポイントと排出事業者への影響について順に確認していきましょう。

改正ポイント① 可燃性PCB汚染物等の処理区分はどう変わったのか?

2019年の改正により、可燃性のPCB汚染物等について、従来は高濃度側として扱われていたPCB濃度0.5%超10%以下(5,000~100,000mg/kg)の範囲が、無害化処理認定施設等で処理できる対象に追加されました。従来はPCB濃度0.5%超が高濃度、0.5%以下が低濃度とされていましたが、改正後は可燃性PCB汚染物等に限って10%までが低濃度側の処理対象に含まれるようになりました。その結果、従来は高濃度側として扱われていたPCB濃度0.5%超10%以下の可燃性PCB汚染物等について、無害化処理認定施設等で処理できる範囲が広がりました。

ただし、注意が必要なのは、この見直しはあくまで可燃性PCB汚染物等に限られる点です。金属くずや陶磁器くず等の非可燃性の汚染物については、従来どおりPCB濃度0.5%を超えるものが高濃度PCB廃棄物とされており、この扱いは変わっていません。

高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物では処理の仕組みが違う

そもそも高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物は、処理の仕組みが大きく異なります。まず高濃度PCB廃棄物は、長年、国が設立した特殊会社であるJESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)で処理されてきました。全国5か所の処理施設で担当エリアが区切られ、施設ごとに処理期限も定められていました。

一方、低濃度PCB廃棄物は、無害化処理認定施設や都道府県知事等の許可施設といった民間の認定業者で処理されます。このように、両者は処理先の仕組みが根本的に異なるのです。

なお、高濃度PCB廃棄物のJESCOによる処理事業は、2026年3月に終了しています。また、高濃度PCB廃棄物が新たに判明した場合は、速やかに管轄自治体等へ相談することが望まれます。そのため、可燃性PCB汚染物等について、低濃度側で処理できる範囲が広がったことは、排出事業者にとって実務的な意味を持つと考えられます。

出典:環境省「無害化処理認定施設等の処理対象となるPCB廃棄物の拡大に係る関係法令等の改正について(2019年12月20日)」

処理区分が変わった対象は「PCB機器」ではなく「PCB汚染物」

ここで押さえておきたいのは、処理区分が変わった対象は、コンデンサ・変圧器・照明器具安定器といったPCB機器ではなく、あくまでPCB汚染物だという点です。実際、行政の掘り起こし調査によって、PCB感熱複写紙や汚泥の存在が新たに発覚した事例も報告されています。

さらに、環境省の通知「ポリ塩化ビフェニル汚染物等の該当性判断基準について(通知)」によって、塗膜くず等に関する行政の判断基準の統一が図られています。掘り起こし調査が進むことで、新たなPCB汚染物が確認される可能性があります。こうした多様な汚染物が従来の基準で高濃度PCBと判定されると処理が追いつかない懸念があったことが、可燃性PCB汚染物等について低濃度側の処理対象を広げた経緯の背景にあると説明されています。

※図はJESCO処理事業終了前に示されていた高濃度PCB廃棄物の処分区分を説明するものです。2026年3月末でJESCOによる処理事業は終了しています。

出典:環境省「ポリ塩化ビフェニル汚染物等の該当性判断基準について(通知)」

改正ポイント② 焼却施設の認定はどこまで広がったのか?

2つ目の改正ポイントとして、環境大臣が定める品目を扱う焼却施設について、無害化処理認定の対象が広がりました。従来の焼却施設における技術上の基準に加え、環境大臣が別途定める産業廃棄物を扱う施設については、燃焼ガス温度850℃以上の焼却施設も無害化処理の対象として位置づけられたためです。対象となるのは、PCBが付着したプラスチックや木くず、汚泥といった可燃性の汚染物等です。

なぜこうした見直しが可能になったかというと、無害化処理認定施設での焼却実証試験の結果や焼却技術の水準を踏まえ、適正に無害化できると判断されたためです。その背景には、低濃度側で処理する可燃性PCB汚染物等が増える分の処理先を確保する狙いがありました。

したがって、新たな基準に適合する焼却施設を持つ処理業者の認定が進み、排出事業者にとっては処理先の選択肢が広がっています。

改正は排出事業者にどのような影響をもたらすのか?

それでは、これらの改正が排出事業者に与える影響をみていきましょう。改正によって、従来は高濃度側として扱われていたPCB濃度0.5%超10%以下(5,000~100,000mg/kg)の可燃性PCB汚染物等について、無害化処理認定施設等で処理できる制度上の範囲が広がりました。つまり、低濃度側で処理できる対象が増える分、焼却施設の認定対象を広げて認定業者を増やし、処理の受け皿を確保するという構図になっているのです。

処理先の選択肢が増える可能性がある

まず期待されるのが、処理先の選択肢の増加です。従来の厳しい基準を満たす処理施設は限られるうえ、高度な設備には相応のコストがかかるため、処理費用も比較的高額になる傾向がありました。しかし、改正によって認定を受けられる施設が増えれば、廃棄物の性状や所在地によっては、従来より選べる処理先の幅が広がる場合があると考えられます。

運搬費用を抑えられる場合がある

次に、運搬面での負担についてです。これまで高濃度PCB廃棄物は、かつてエリアごとに処分先が定められ、JESCOの北海道(室蘭)や北九州等の限られた施設で処理されていました。そこまでの運搬は民間の許可業者を手配する必要があり、排出事業場の地域によっては運搬費用が非常に高額になる点がネックでした。しかし、改正によって処理可能な施設の選択肢が増えることで、廃棄物の性状や所在地によっては、従来より近い施設を選べる場合があります。その結果、運搬費用等を抑えられる可能性があります。

委託先の確認が重要になる

一方で、低濃度PCB廃棄物は、無害化処理認定施設や都道府県知事等の許可施設など民間の処理施設で処理されるため、委託先の確認の重要性が高まる点にも注意が必要です。かつてのJESCOでの処理は料金が一律の基準で決められ、国の関与のもとで運営されていたのに対し、民間業者への委託では、多くの選択肢の中から適正に処理できる委託先を自ら選ぶ必要があり、見積条件もさまざまです。そのうえ、認定を受けていたとしても「一定の基準をクリアしている」ことと、個々の案件で必ず適正処理がなされることは別の問題になります。

したがって、処理先の選択肢が増える一方で、排出事業者には、委託先の許可・認定範囲や処理条件を案件ごとに確認することが、これまで以上に重要になります。

さいごに:委託先選定でお悩みの方へ

ここまでみてきたように、2019年の改正で可燃性PCB汚染物等について低濃度側で処理できる範囲が広がり、焼却施設の認定対象の拡大によって処理できる民間施設も広がりました。加えて、高濃度PCB廃棄物のJESCO処理事業が2026年3月に終了し、低濃度PCB廃棄物の処分期限も2027年(令和9年)3月末に迫っています。そのため、排出事業者にとっては処理先の選択肢が広がる一方で、委託先を案件ごとに確認することの重要性が高まっています。イーバリューでは、PCB廃棄物の処理委託先の選定や、処分期限を見据えた対応方針の整理について、ご相談を承っています。ぜひお気軽にご相談ください。

なお、低濃度PCB廃棄物の処分期限は原則として2027年3月31日ですが、2026年公布の別改正により、2027年4月以降に使用を終了する低濃度PCB使用製品等には別途の処分義務が設けられます。

※ 本記事が扱う2019年改正とは別に、2026年に公布されたPCB特措法等の改正法があり、新たにPCB廃棄物と判明したもの等の取扱いにも関係します。処分期限の考え方が変わる場合があるため、最新の制度は環境省の公表資料でご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q. PCB関連法の改正で処理区分はどう変わりましたか?
A. 2019年12月20日、可燃性PCB汚染物等を無害化処理認定施設等で処理できる対象に加えるため、PCB廃棄物処理基本計画の変更と関係法令等の改正が行われました。この改正により、可燃性のPCB汚染物等に限り、従来は高濃度側として扱われていたPCB濃度0.5%超10%以下(5,000~100,000mg/kg)の範囲が、無害化処理認定施設等で処理できる対象に追加されました。金属くず・陶磁器くず等の非可燃性の汚染物は、従来どおり0.5%超が高濃度PCB廃棄物のままです。

Q. 処理区分が変わった対象は何ですか?
A. 対象は、コンデンサ・変圧器・照明器具安定器といったPCB機器ではなく、PCB汚染物です。しかも、処理対象が広がったのは可燃性PCB汚染物等に限られ、非可燃性の汚染物は含まれません。

Q. 高濃度PCBと低濃度PCBでは処理先がどう違いますか?
A. 従来、高濃度PCB廃棄物はJESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)で処理され、全国5か所の施設で担当エリアと処理期限が分かれていました。一方、低濃度PCB廃棄物は、無害化処理認定施設や都道府県知事等の許可施設といった民間の認定業者で処理されます。なお、JESCOによる高濃度PCB廃棄物の処理事業は2026年3月に終了しています。高濃度PCB廃棄物が新たに判明した場合は、速やかに管轄自治体等へ相談することが望まれます。

Q. 排出事業者にはどんな影響がありますか?
A. 可燃性PCB汚染物等について低濃度側で処理できる範囲が広がり、焼却施設の認定対象の拡大で処理できる民間施設も増えたため、処理先の選択肢が広がっています。一方で、民間処理が中心になるほど、委託先の許可・認定範囲や処理条件を案件ごとに確認することの重要性が高まります。低濃度PCB廃棄物の処分期限は2027年3月末である点にも注意が必要です。

 

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Takeshi Sato

環境コンサルティング事業部

チーフマネージャー

セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。

Takeshi Sato