排出事業者はだれ?リース・レンタル設備が廃棄になった場合

排出事業者はだれ?リース・レンタル設備が廃棄になった場合

コラムCOLUMNS

  • ケーススタディ

排出事業者はだれ?リース・レンタル設備が廃棄になった場合

排出事業者の皆様、自社工場で使用されている設備の中で、購入ではなくリースやレンタルしているものもあるのではないでしょうか?そういった設備機器をお持ちのお客様から、「リース・レンタルしている設備が壊れた場合、リース会社に返すの?自社が廃棄しても良いの?」と質問をいただきました。

今回はこちらの質問をもとに、リース・レンタル設備が廃棄になった時の対応について解説していきます。

壊れたリース・レンタル設備は誰が廃棄する?

リース・レンタルしている設備は、自社で使用している際に廃棄するレベルで壊れてしまった場合、どのように廃棄すれば良いのか悩むところです。

目の前にある設備は既に価値がないので、自社の手元にある時点で廃棄物となっているように思えます。そのため、自社から直接処理業者に委託しようと考えます。

しかし、設備の“持ち主”は一応、リース・レンタル業者です。 「他人の持ち物を捨てる」ことには、なんとなく違和感があります。

また、リース・レンタルしている設備は、通常返却するものですから、リース・レンタル業者会社に送り返すという考え方もできます。しかし、すでに壊れて要らなくなったものを運ぶのですから、この送り返す行為は産業廃棄物の収集運搬にあたるのでしょうか?

いざ考えてみると、なかなか難しい問題です。

実は曖昧だった!?どちらが排出事業者でもOK?

実はこの場合、ユーザーでもリース・レンタル会社でも、どちらが廃棄しても良いのです。

なぜかと言いますと、廃棄物処理法上、「排出事業者は誰なのか?」がそこまで詳細に決まっていないからです。「廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物 (環循規発第 18033028 号)」というのが廃棄物の定義として有名です。

廃棄物とは何か?という部分に関しては、法律や通知で様々な判断基準が示されています。(総合判断説など)しかし、「誰が排出事業者か?」という部分を定める規定は、殆どありません。

法律上、明確になっているものは、建設廃棄物の元請責任くらいでしょうか?

▼「元請責任」については弊社コラムでも解説しております。
 【元請責任】工事現場の廃棄物は誰の責任?

そのため、今回のような「排出事業者」が曖昧なケースでは、個別に判断することになります。

リース・レンタル会社に返却する場合

今回の場合、本来はリース・レンタル会社に返却するのがスタンダードだと思います。しかし、リース・レンタル会社とユーザーの間で合意をとることで、ユーザーが排出事業者となることも可能です。

返却の場合、リース・レンタル会社に返却するまでが、ユーザーが「借りる」という取引であって、返却が終わり、リース・レンタル会社の手元に届いた後、廃棄されることを決定して始めて廃棄物になります。

そのため、返却中は産業廃棄物の収集運搬には当たりません。そして、排出事業者はリース・レンタル会社です。

直接ユーザーが廃棄する場合

直接ユーザーが廃棄する場合は、当然、ユーザーが排出事業者になります。
リース・レンタル会社としては、返却されるメリットも無く、直接廃棄してくれた方が良いと考える場合があります。この場合、持ち主であるリース・レンタル会社に廃棄の合意を取った時点の「占有者」であるユーザーが排出事業者となります。

ユーザーが排出事業者になったのであれば、排出事業者責任は当然、ユーザーが負うことになります。ご存知の通り、排出事業者責任は非常に重く、委託契約書の締結やマニフェストの発行など、様々な義務が生じます。直接廃棄の場合には、これらの法規制を遵守して適切に廃棄物を処理しなければなりません。

リース・レンタル設備が廃棄になった場合の今後の対応は?

もし、排出事業者がどちらになるか曖昧なケースに直面したら、排出事業者責任を誰が負うのかをリース・レンタル会社にしっかりと確認・合意した上で廃棄手続きを行いましょう!

リース・レンタルの契約をする際に、廃棄する場合にどちらが責任を負うかをあらかじめ契約書に記載するケースもあります。コンプライアンスを果たすためにも、廃棄を検討する際には今回お伝えした注意点にお気をつけください。

Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー

セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。