廃棄物管理のジェネレーションギャップとは?

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廃棄物管理のジェネレーションギャップとは?

不法投棄数No.1は意外にも排出事業者

環境省HP『産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成25年度)』
▲環境省HP『産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成25年度)』より一部抜粋

上記は、環境省が毎年発表している不法投棄に関する調査情報です。
これは、2015年10月現在で最新のもので、不法投棄の件数が最も多いのは排出事業者です。環境省HPにて閲覧可能なデータだけでも、平成11年度から25年度までの14年間、排出事業者の不法投棄件数が最も多いという事実はずっと変わっていません。

このような調査結果がある一方で、「不法投棄をするのは、悪徳業者だ」というイメージをお持ちの方も多いでしょう。確かに、多くの方がイメージする「悪意をもって不法投棄し、荒稼ぎ」「経営に行き詰って不法投棄に手を染める」といったことをするのは、無許可業者や許可業者です。

ただ、一般の排出事業者の場合、お金の為に不法投棄を繰り返す例は、あまりありません。

“勘違い”で検挙!?

ではなぜ、排出事業者は不法投棄に手を染めてしまうのでしょうか?

それは、簡単に言えば「勘違い」です。

非常に軽い響きですが、「勘違い」とは、つまり、「法律を知らない」「間違った解釈で運用してしまっている」ということです。

よくあるケースとしては、有価物と誤認してしまうなどして、廃棄物としての適切な扱いがなされないといったことがあります。
排出事業者の方々と接していて感じるこのようなケースの原因は、「引き継ぎらしい引き継ぎをしているところは案外少ない」ということです。

”引き継ぎらしい引き継ぎ”というのは、ある程度の法律知識を持って、自社の管理方法が押さえられている状態です。「法律で○○が求められているから、自社の手順では~~をする」という形ですね。

対して実態は、「決まっている事」だけを覚えて「なぜ必要か?」が抜け落ちてしまっていることが非常に多いのです。「~~する」の部分だけをひたすら詰め込んでいる状態です。

この二つの状態には、皆さんの想像以上に大きな隔たりがあります。

それは、法律が改正された時に顕著に表れます。
法律で求められるものがわかっている場合、それが変わるのですから、実際の行動も変わる可能性があるとすぐにピンときます。

しかし、行動しか知らないと、自分たちの行動がどんな法律に基づいたものかわからないので、どこが変わって、どう行動が変わるかが分からないのです。

さらには、自社の手順だけを見て行動するので、そもそも法律に対する注意力が無く、法改正の存在すら知らない可能性もあります。

ジェネレーションギャップ(良い例)

ジェネレーションギャップ(悪い例)

こうなると危険極まりない状態が続きます。廃掃法で求められることは年々厳しくなっていくのに、自社の手順は変わらないまま。そして時は流れ、ある時不法投棄、不適正処理で検挙されるのです。

こうして逮捕された際のコメントは決まって「法の規定を知らなかった」「改正があったことを知らなかった」「昔からの手順でそのまま…」となります。

”廃棄物管理のジェネレーションギャップ”とは

廃棄物関連法は、特に改正が多いですから、一度覚えてもすぐに情報は古くなります。
これを、私は”廃棄物管理のジェネレーションギャップ”と呼んでいます。

流行の情報に疎くなると、現代の世代とのギャップが生まれるように、法改正の情報収集を怠ると、現在の法律とのギャップが生まれてしまうのです。この道何十年の経験よりも、最新の書籍を1冊読んだ方が、現代のルールを守るためには有効だったりします。

後から、現時点で正しい情報を知った方が、よっぽど安全だということです。
残念ながら、長年の経験と勘だけでは、この業界においてはリスクになることが多いのです。

皆さんは大丈夫でしょうか?

今行っている業務を日常から一つ一つ「法律で求められていることは何か?」と考えながら取り組んで見てください。

もし、求められている基準や項目が浮かばなければ、すぐに調べましょう。
未来のリスクを摘むチャンスです。

Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー

コンサルタントとしての活動で実績を積む傍ら、セミナーインストラクターとして数々のセミナーを担当。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。 対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。