排出事業者は誰?清掃の際に発生する廃棄物

排出事業者は誰?清掃の際に発生する廃棄物

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排出事業者は誰?清掃の際に発生する廃棄物

「このような状況の場合、法律上の排出事業者が誰になるのかわからない」。これはコンサルティングを行う中で非常に多くいただく質問です。

今回のコラムでは、清掃業者が入った際に発生する廃棄物について、お客様から実際にいただいた質問をもとに排出事業者を判断するポイントを解説していきます。

清掃に関する排出事業者責任

【ケース】
自社工場内にリースで設置している機械設備を清掃業者が洗浄した際、業者が持ち込んだ洗剤と機械設備の汚れが混ざった廃液(洗浄廃液)の排出事業者は誰になるのか?

このような場合、排出事業者は誰になるのでしょう。①工場の所有者か、②所有権のあるリース会社か、それとも③清掃業者でしょうか?

早速ですがこちらのケース、業務委託契約等において事前に定めておけば、3社いずれも排出事業者になることができます。

一般的に清掃に関する排出事業者責任というと、以下の通知のように、事業場の所有者等に排出事業者責任があるとイメージされる方が多いのではないでしょうか?

問14:清掃業者が事業場の清掃を行った後に生ずる産業廃棄物について、その排出者は清掃業者であると解してよいか。

答:当該産業廃棄物の排出者は事業場の設置者又は管理者である。清掃業者は清掃する前から事業場に発生していた産業廃棄物を一定の場所に集中させる行為をしたにすぎず、清掃業者が産業廃棄物を発生させたものではない。

昭和57年6月14日 厚生省環境衛生局水道環境部産業廃棄物対策室長(通知)」

清掃の際に発生する廃棄物は、清掃業者がもともと事業場にあった廃棄物を集めたり、移動させたりしただけで、清掃業者が発生させたのではありません。(「ホコリ等の掃き掃除」や「集じんの清掃」等がこれにあたります。)

このような場合、排出事業者は事業場の設置者や管理者になります。

状況や廃棄物の違いによって変わる排出事業者

ただ、今回のケースは状況が異なります。

洗浄廃液は清掃業者が持ち込んだ洗剤と機械設備の汚れが混ざって発生しているため、清掃業者も排出事業者になりえます。強アルカリ剥離剤の廃液などは、特別管理産業廃棄物になるケースもあるので要注意です。

なお、大阪府のHPでも次のような見解が示されています。

【設備やビルのメンテナンスに伴い発生する産業廃棄物は誰が排出事業者になるか?という質問への回答】

…建設工事に該当しない場合には、設備のメンテナンスに伴い生ずる部品、廃油等やビルのメンテナンスに伴い生ずる床ワックス剥離廃液等については、当該廃棄物を支配管理していて排出事業者責任を負わせることが最も適当なものとして、メンテナンス事業において産業廃棄物を発生させたメンテナンス業者又は設備やビルを支配管理する所有者又は管理者が排出事業者となります。
この場合、メンテナンス契約において、産業廃棄物の排出事業者責任の所在及び費用負担についてあらかじめ定めておくことが望まれます。…

大阪府HP

また、同じ液体でも雑巾やモップで水拭き掃除等した際の汚水については、清掃業者が持ち込んだ洗剤の割合はごくわずかであるため、排出事業者は事業場の所有者だと判断できます。

このように、自社と清掃業者という関係性は同じでも、廃棄物の内容や、その割合によって廃掃法上の排出事業者責任の判断が異なるため注意が必要です。

自社を守るためにも、排出事業者責任の下で廃棄物を適正処理するためにも、事前に責任の所在を明確にしておきましょう!

Kayo Toyama 環境コンサルティング事業部 マネージャー

在学中は文学部言語表現学科に所属し、文章表現、会話表現から古典文学まで幅広く学ぶ。 現在は、“お客様の抱えている問題を解決するお手伝い”をしたい!という考えのもと、大学時代に学んだ文章表現のノウハウを生かし、自社サイトや資料等を使ったお客様への情報発信を担当。