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産業廃棄物の実地確認では何を確認すればよいのか?──新任担当者が押さえておきたい3つのポイント

基準時点:2026年7月現在(最終更新:2026年8月25日)

産業廃棄物の処理は、信頼できる業者に委託した後も、適正に処理されているかを排出事業者自身で確かめることが大切です。本コラムでは、その代表的な確認方法である「実地確認」について、廃棄物処理法(廃掃法)の位置づけと、新任担当者が押さえるべき3つのポイントを解説します。

結論
産業廃棄物の実地確認では、大きく分けて3つのポイントを確認します。①事前準備として委託先の書類や公表情報を先に集め、②視察当日は施設・車両の管理状況や稼働状況を確認し、③合わせてスタッフの対応や保有資格、社員教育の状況を確認します。
これらの確認は、廃掃法(廃棄物処理法)第12条第7項が排出事業者に求める「処理状況の確認」と「必要な措置」の努力義務を果たす方法の一つで、委託前だけでなく契約締結後も継続することが望まれます。
国の法律上は現地訪問自体が一律の義務ではありませんが、自治体の条例で義務とされる場合もあり、当社では委託先ごとに年1〜2回程度の確認をおすすめしています。

この記事で分かること

  • 排出事業者が実地確認を行うべき理由と、青森・岩手県境の不法投棄事例から見える不適正処理のリスク
  • 廃掃法第12条第7項が定める「処理状況の確認」の努力義務としての位置づけと、義務か努力義務かの考え方
  • 現地訪問に限らない確認方法と、委託前・契約締結後を通じた確認のタイミング
  • 新任担当者が押さえるべき3つのポイントと各段階の確認項目
  • 実地確認の適切な頻度の考え方と、年間スケジュールに基づく継続的な確認の進め方

なぜ実地確認が重要なのか──不法投棄事例から考える

実地確認が重要な理由は、委託した産業廃棄物が委託先で適正に処理されているかを排出事業者自身が確かめ、不適正処理のリスクを早期に把握するためです。この重要性は、過去の大規模な不法投棄事例を振り返るとよく理解できます。

代表例が、青森県と岩手県の県境で発覚した不法投棄事件です。1999年に発覚し、現場の投棄等量は環境省資料で約109万立方メートルとされています。全量撤去が完了するまでには、発覚から十数年を要しました。関係資料の調査では約12,000社の排出事業者がリストアップされ、そのうち委託基準違反等が確認された事業者には、廃棄物の撤去を求める措置命令等が行われました。事業者名が公表された例もあり、排出事業者にとっては企業の信用に関わる問題となります。

不適正処理のリスク要因の一つとして、処理業者が自社の処理能力を超える廃棄物を受け入れ、処理が間に合わなくなったり、本来必要な処理ができず残渣の処分先を確保できなくなったりする、いわゆるオーバーフローが挙げられます。当社が実地確認の支援を通じて見てきた経験からも、こうした事態の背景には、処理能力を超えた受入れ、残渣処理先の確保不足、管理体制の不備、資金繰りの悪化等、複数の要因が関係している場合があります。

たとえば、財務状況が悪化すると、当面の資金を確保するために更に廃棄物を受け入れ、その結果、中間処理後の残渣の処理費用を捻出できず、処理が進まないまま在庫が過多になる、という悪循環が生じ得ます。だからこそ、委託前はもちろん、委託契約締結後も定期的に視察を行い、委託先に管理能力があるか、自社の廃棄物が適切に処理されているかを確認することが重要になります。これが、実地確認が重要とされる理由です。

>>実地確認の重要性について詳しくはこちら

実地確認は義務か努力義務か──廃掃法上の位置づけ

廃掃法(廃棄物処理法)第12条第7項は、産業廃棄物の処理を委託した排出事業者に対し、その処理の状況に関する確認を行い、適正処理のために必要な措置を講ずるよう努めることを定めています。これは排出事業者の努力義務で、平成22年(2010年)の改正で明記され、平成23年(2011年)4月1日から施行されました。実地確認は、この「処理の状況に関する確認」を果たすための方法の一つです。法律上、現地に赴くこと自体が一律に義務づけられているわけではありませんが、自治体によっては条例で実地確認を「義務」としているケースもあるため、事業所を管轄する自治体の規定を確認する必要があります。なお、特別管理産業廃棄物を委託する場合は、第12条の2第7項に同趣旨の規定が置かれています。

事業者は、前二項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第12条第7項(特別管理産業廃棄物を委託する場合は第12条の2第7項)

ここでいう「必要な措置」には、処理状況の確認、委託先への確認・是正の依頼、必要に応じた委託先の見直し等が含まれます。

また「処理の状況に関する確認」とは、次の3つを指します。第一に、委託先の中間処理施設や最終処分場に適正処理のために必要な能力があるか、そこで適正な処理が行われているかを実地で確認すること。第二に、処理状況や維持管理状況などの公表情報から施設の稼働状況等を確認し、適正処理が行われているかを間接的に確認すること。第三に、委託先を選定する際だけでなく、契約締結後にも定期的に確認することです。

確認の方法は「実地確認」に限られるわけではありません。環境省の令和5年(2023年)3月31日通知によれば、廃棄物の処理が適正に行われていることを実質的に確認できると認められる場合には、実地に赴くことに限らず、公表情報の確認やオンライン会議システム等のデジタル技術を活用した確認も可能とされています。ただし、これはあくまで実質的な確認ができる場合の話であり、オンラインでは確認できない事項がある場合や、公表情報に不明点や疑問点が残る場合には、処理業者に回答を求めたり、実地に赴いて確認したりする必要があります。

確認のタイミングは、契約前の情報収集・実地確認・業者選定という選定段階だけでなく、契約後の運用管理段階でも重要です。運用管理では、マニフェスト・契約書等の管理や情報収集と合わせて、契約更新に向けて定期的に実地確認を行うことが望まれます。委託契約書に沿って廃棄物の処理が実施されているか、処理する能力を有しているか等を実際に確認することで、適正処理をより確実なものにできます。

ここを押さえる!実地確認の3つのポイント

実地確認の必要性を確認したところで、実際の流れを3つのポイントに分けて解説します。順に、事前準備、視察当日の施設管理の確認、視察当日の社員教育の確認です。

ポイント1:事前準備──書類と情報を先に集める

実地確認に赴く前に、事前の情報収集をしておくことが重要です。現地では書類や施設、車両の確認、ヒアリング等に多くの時間を要します。そこで事前に情報を集め、当日はどこを重点的に見るか・ヒアリングするかを決めておくと、効果的な実地確認が可能になります。

まず、以下のような書類を事前に提供してもらえると、質問事項や確認事項を前もって洗い出せます。ただし、処理会社が下記の書類をすべて用意できるとは限りませんので、あらかじめ委託先に相談しておくことをおすすめします。

書類区分

確認できる内容の例

会社概要

会社経歴書、組織図及び役員名簿、関係会社一覧 等

廃掃法関連

収集運搬業・処分業許可証、処理施設配置図、車両一覧 等

処理実績

処理実績報告書、各種指標(リサイクル率等) 等

財務諸表

貸借対照表、損益計算書及び付属明細書、事業報告書 等

加えて、会社ホームページや産廃情報ネット(情報公開している業者のみ掲載)等、インターネットによる情報収集も有効です。また、自治体が公表している許可情報や行政処分情報を確認し、必要に応じて自治体へ照会する方法もあります。ただし、回答を得られる情報の範囲は自治体によって異なります。加えて、他の関連業者(処理・リサイクル業者)の評価が参考になる場合もあります。自治体からは公表されている許可情報や行政処分情報を、インターネットからは会社概要・沿革・事業活動・CSR活動等を確認でき、優良産廃処理業者として認定されていれば産廃情報ネットで財務情報等も公開されています。

ポイント2:視察当日〜施設管理編〜

事前準備を終えたら、いよいよ視察です。現地では、施設や車両等の管理状況や稼働状況を確認することが重要になります。おすすめは、確認ポイントをまとめたチェックシートを準備していくことです。ただし、処理施設によって確認すべきポイントが異なるため、施設の種類に応じて内容を調整する必要があります。

確認項目

確認ポイントの例

施設の管理

施設の老朽化、夜間・早朝の運転、煙害・騒音・悪臭等の問題、技術者・責任者の不在 等

車両の出入り

施設の能力と比した車両の出入り、夜間の車両の出入り、不審な車両の出入り 等

廃棄物等の保管状況

廃棄物等の大量保管、その急増・急減 等

その他

最終処分場を有している場合は残余容量、中間処理場・積替保管場を有している場合は未分別の廃棄物等の大量保管や他社車両の出入り・無許可施設(焼却炉・破砕機)の有無、一般廃棄物処理業を兼業している場合は一廃と産廃の混合処理 等

確認するのは施設だけではありません。近隣住民に施設に関する情報を聞くことで、振動・騒音・悪臭の有無や、住民とのコミュニケーションがうまく取れているか等を確認できます。

聞き取りを行う場合は、委託先との関係や調査の目的に配慮し、節度を持って行うことが大切です。自治体の公表情報等、公開されている周辺環境の情報も合わせて確認すると良いでしょう。

また、現地の写真を撮影することもおすすめです。撮影の可否は委託先によって異なりますが、可能な範囲で撮影しておくと、現地調査の記録として重要な資料になります。

撮影する場合は、事前に撮影の可否と範囲を確認し、施設内の機密情報や他社の廃棄物に関する情報が写り込まないよう配慮しましょう。

【写真撮影例】
☑ 許可看板(実地確認をした証拠として、確認者も一緒に写るようにします)
☑ 工場全体の写真(工場の入り口から撮るようにします)
☑ 中間処理設備(破砕機や圧縮機等)
☑ 保管されている廃棄物
☑ 廃棄物の展開検査場(受け入れた廃棄物が許可の範囲内かを確認する場所も撮ります)

ポイント3:視察当日〜社員教育編〜

書類や施設だけでなく、スタッフの対応やモラルの確認、保有状況の把握も重要です。直接対応する担当者だけでなく、工場スタッフや事務スタッフの様子を見ることは、社員教育が行き届いているかを確認するうえで効果的です。挨拶・服装等の身だしなみ・ヘルメット着用等の安全管理状況をチェックし、合わせて、業務に必要な資格の取得状況やそれ以外の資格の保有状況を確認すると良いでしょう。

さらに、施設を安全に運用するための仕組みづくりが整備されているか、新入社員等への教育訓練や事故・緊急事態への対応訓練が実施されているかも確認することが望まれます。細やかな社員教育は、施設の安全性に直結するためです。具体的には、次のような観点でチェックします。

【従業員の作業手順】
☑ 施設・重機等を安全に運用するための作業手順及び手順書があるか。
☑ 資格の管理が適切にされているか。

【新入社員等への教育訓練】
☑ 資格取得の社内制度や管理があるか。
☑ 手順書を用いた教育訓練が実施され、それらの記録があるか。
☑ 過去の事故や緊急事態、ヒヤリ・ハットの共有がされているか。

【事故・緊急事態への対応】
☑ 事故・緊急事態が発生した際の対応手順が明確になっているか。
☑ 定期的な訓練をしているか、また、それらの記録があるか。

さらに効果的な実地確認を行うためのポイント

実地確認の頻度は、国の廃棄物処理法では一律に定められていません。自治体の条例や委託先の状況、自社のリスク管理基準を踏まえて設定する必要があります。当社では、継続的な確認の一例として、委託先ごとに年1〜2回程度の確認を検討することをおすすめしています。いずれにしても、年間スケジュールを組み、定期的に調査を行うことが望まれます。また、実地確認を行う際は、工場の現場担当者だけでなく管理部門の担当者も同行し、全社基準をクリアしているかをダブルチェックするとより効果的です。

処分場の実地確認には、排出事業者責任を果たすという側面と、自社の廃棄物に関するリスクを低減させるという側面の2つがあります。両者を意識して確認を積み重ねることで、適切な廃棄物管理とコンプライアンスの維持が可能になります。新任担当者の方も、本コラムの3つのポイントを踏まえ、万全の準備を行ったうえで実地確認に臨んでいただければと思います。

委託先の選び方や実地確認のチェックシートの整備、確認結果の記録の仕組み化などでお困りの場合は、イーバリューにお気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 産業廃棄物処理の実地確認は法律上の義務ですか?
A. 廃掃法第12条第7項は、委託した廃棄物の「処理の状況に関する確認」を行い、適正処理のために必要な措置を講ずるよう努めることを、排出事業者の努力義務として定めています(平成22年〈2010年〉改正で明記、平成23年〈2011年〉4月1日施行)。実地確認はその確認方法の一つで、法律上、実地確認自体が一律に義務づけられているわけではありません。ただし、自治体によっては条例で実地確認を義務としている場合があるため、事業所を管轄する自治体の規定を確認してください。

Q. 実地確認は、必ず現地に足を運ばなければならないのですか?
A. 必ずしも現地訪問に限られません。環境省の令和5年(2023年)3月31日通知によれば、廃棄物の処理が適正に行われていることを実質的に確認できると認められる場合には、公表情報の確認やオンライン会議システム等のデジタル技術を活用した確認も可能とされています。ただし、これは実質的な確認ができる場合の話であり、オンラインでは確認できない事項がある場合や疑問点が残る場合には、実地に赴いて確認する必要があります。求められる確認の程度は自治体の規定によって異なる場合があるため、合わせてご確認ください。

Q. 実地確認はどのくらいの頻度で行えば良いですか?
A. 廃棄物処理法では、確認頻度は一律に定められていません。自治体の条例や委託先の状況、自社のリスク管理基準を踏まえて設定する必要があります。当社では、継続的な確認の一例として、委託先ごとに年1〜2回程度の確認を検討することをおすすめしています。委託契約の締結前だけでなく締結後も継続して確認し、年間スケジュールを組んで計画的に実施すると良いでしょう。なお、頻度や記録の保存期間を条例で定めている自治体もあるため、管轄自治体の規定もご確認ください。

Q. 実地確認を行う際、事前に確認しておくと良い書類は何ですか?
A. 会社概要(会社経歴書、組織図・役員名簿、関係会社一覧 等)、廃掃法関連(収集運搬業・処分業許可証、処理施設配置図、車両一覧 等)、処理実績(処理実績報告書、リサイクル率等の各種指標 等)、財務諸表(貸借対照表、損益計算書及び付属明細書、事業報告書 等)が挙げられます。ただし、処理会社がすべてを用意できるとは限らないため、事前に委託先へ相談しておくことをおすすめします。

Q. 視察当日は施設のどこを見れば良いですか?
A. 施設の管理状況(老朽化、夜間・早朝の運転、煙害・騒音・悪臭、技術者・責任者の不在 等)、車両の出入り、廃棄物等の保管状況(大量保管や急増・急減)等を確認します。合わせて、スタッフの対応やモラル、保有資格、社員教育の実施状況も確認します。確認ポイントは施設の種類によって異なるため、チェックシートを準備し、施設に応じて調整することをおすすめします。

参考資料・出典

  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第12条第7項(特別管理産業廃棄物を委託する場合は第12条の2第7項)
  • 環境省「規制改革実施計画(2022年6月7日閣議決定)における実地確認に関する記載事項について」2023年3月31日通知(環循適発第23033125号・環循規発第23033110号)
  • 環境省「産業廃棄物の不法投棄等の状況」ほか青森・岩手県境不法投棄事案に関する公表資料(投棄等量 約109万立方メートル)
  • 青森県「岩手県境不法投棄事案」関連公表資料(排出事業者約12,000社のリストアップ〈12,003社〉に関する記載)
  • 青森県「青森・岩手県境不法投棄事案アーカイブ」(県公式サイト。撤去の経緯・撤去量・経費等を掲載)

 

 

 

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Takeshi Sato

環境コンサルティング事業部

チーフマネージャー

セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。

Takeshi Sato

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