【マニフェスト】排出事業者が押さえておくべき基礎と実際にあったミス

【マニフェスト】排出事業者が押さえておくべき基礎と実際にあったミス

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【マニフェスト 応用編】排出事業者が押さえておくべき基礎と実際にあったミス

廃棄物管理とは、切っても切れない関係の”マニフェスト” そのマニフェストについて、基礎編と応用編に分けて、ご紹介いたします。 >>基礎編はこちら 今回の後編では、弊社のセミナー講師佐藤から、マニフェストを運用する際に、実際に起こるミスについてお伝えいたします。

【応用編】管理できている“つもり”があまりにも多い…

前編では、基礎的なマニフェストの流れをご紹介しました。 マニフェストは廃棄物を扱う上での基本中の基本なので、「知っている内容ばかりだなぁ…」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。廃棄物の管理担当者の方であれば、いわば必須項目ですから当然と言えば当然です。では、実務でも、その通りにできているところばかりかというと、残念ながらそうではないのです。
そこで、「実際にあったマニフェストのミス」を抜粋してご紹介します。
これらは、我々が様々な企業様のご相談を受ける中で発見し、改善の必要ありとアドバイスをしたものです。どれも「ある企業固有のケース」ではなく、「よくあるミス」として多くの排出事業者にみられる事例です。

A票の段階で記載漏れ、誤記載が発生

数量が書いていなかったり、品目や各住所が違っていたりは本当によくあります。また、A票の段階で運搬業者や処分業者欄が空欄なこともあります。これは、「A票の段階でほとんどの項目を埋めておかなければならない」というルールが浸透していないことが原因です。 マニフェストは「なにを、どこが運んで、どこで処理されたのか?」を事後報告する『報告書』ではなく、決まった項目通りに処理を行う予定を立てて、その通りに進行するための『管理表』なのです。A票が空欄で良いのは、運搬・処分の終了日や最終処分場所等の排出する段階で未定であるものだけです。 ※廃棄物の計量を処分業者がしている場合でも、引渡しの際に目安の数量を記載する必要があります。(参考:大阪府:マニフェスト制度(F&Q)のQ59)

返送されるB2票、D票、E票の保管漏れ 又は、自社控えでない伝票を保管している

返送後、5年間保存しておかなければならないマニフェストは1部につき、A票、B2票、D票、E票の4枚です。 ですが、いざ確認してみると3枚だったり2枚だったり…破棄してしまたのか紛失なのか?そもそも返送されていなかったのか?どちらにしても問題です。 マニフェスト保管漏れ
また、比較的珍しいパターンですが逆に規定よりも多くのマニフェストを保管しているところもあります。一番驚いたのは排出事業者が7枚全てを保管していたところに立ち会った時です。これももちろん問題ですし、業者さんもよくこの状態をよしとしていたな…と唖然とするばかりでした。 「業者さんは詳しい」と無条件に思いがちですが、絶対ではありません。稀に、ほとんど知識がない許可業者も存在するのが現実です。

マニフェストの内容が契約書と合わない

マニフェストとその他との整合性 いつの間にか契約書と合わないマニフェストを発行しているケースはとても多いです。 新しい品目で見積りを取ったところで満足し、基本契約はしているから…と品目追加をせずにマニフェストを出し続ける。現場の使い勝手を重視し荷姿を勝手に変更している。等々…。 さらに多いのは最終処分場の変更です。処分業者側が、新しい最終処分場をE票に記載してきても、契約書に書いていなければ法律違反です。 前項同様、業者さん任せではいけません。残念ながら、最終処分場変更を丁寧にアナウンスしてくれる業者さんばかりではありません。

そもそもマニフェストを発行していない

言語道断!と思ってしまいますが、これも決して珍しい話ではありません。 あきらかな廃棄物に対して、発行しないことは稀ですが、到着時有価物逆有償などと呼ばれる状態の際に、有価物と誤認してしまう例が多いです。こうした場合は運搬終了まではマニフェストを発行し、運用する必要があります。
*到着時有価物・逆有償についての大阪府の詳しい見解
*到着時有価物・逆有償のマニフェストの発行方法についてのコラムはこちら この状態の怖いところは有価物と誤認している為、マニフェストを始め廃棄物の管理帳簿や報告書などにも記載されず、管理部門が気づけないまま違法な取り扱いが常態化してしまいます。

廃棄部担当者が存在すら認知していない廃棄物というのが実際にあるわけです。
疑いを持ってチェックしなければ見つからない物なので、一度総点検をされることをおすすめします。

【応用編】真因と対策

上記4つのケースに共通しているのは、「必ずしも管理担当者がチェックできる内容ではない」という点です。 知識も危機感もある管理担当者の方は、このようなケースがあると言われると「そんなバカな!?」と感じる内容ばかりではないでしょうか?

しかし、実際にあるのです。 廃棄物担当者は1人でも、廃棄物に関わる人間は数えきれません。現場の方々、運搬会社、処分会社、マニフェスト整理など単純作業を行う事務員さんetc…
あなたが適切な知識を持っていたとしても、知らないところで勝手な行動を起こされ、違反が行われている可能性は大いにあります。

上記の方々はそもそも知識がないことがほとんどです。
言われた最低限の事だけ行っておこうという考え方だと、マニフェストは複雑すぎて必ず不具合が出ます。しかし、最終的にまとまった集計表や報告書はきれいに整理されているので管理者側は気づかないのです。

また、廃掃法自体が複雑怪奇ですし、地方自治体の個別条例も多いので、管理者といえども追いきれないのが実情です。あなた自身が、知らず知らずのうちに、違反をしてしまっている可能性もあります。

まずは、多くのリスクがあることを自覚した上で、ミスが起こり得ない仕組みづくりを推進することを強くお勧めします。

*廃棄物管理に関するご相談はこちら


参考引用サイト:大阪府HP マニフェスト制度(F&Q)

 

条例を調べたり、自治体への問い合わせを面倒と感じる方へ

Kayo Toyama 環境コンサルティング事業部 マネージャー

在学中は文学部言語表現学科に所属し、文章表現、会話表現から古典文学まで幅広く学ぶ。 現在は、“お客様の抱えている問題を解決するお手伝い”をしたい!という考えのもと、大学時代に学んだ文章表現のノウハウを生かし、自社サイトや資料等を使ったお客様への情報発信を担当。