実はこんなにもあった、法定記載事項ではない“おせっかい項目”

実はこんなにもあった、法定記載事項ではない“おせっかい項目”

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実はこんなにもあった、法定記載事項ではない“おせっかい項目”

法的義務のない記載事項が存在する

産廃の委託契約書・マニフェストをいざ自分で作るとなると、記入しなければならない項目が多くて結構大変ですよね。
しかし、契約書やマニフェストに設けられ、当たり前のように記入している項目の中には、「法定記載事項にない項目がある」と知ったら皆さんはどう思われますでしょうか?
今回はそんな実は法的義務がない項目について解説していきます。

紙マニフェストの「おせっかい項目」

例えば、紙マニフェストの交付者氏名欄の押印は、法的に必要では無いのです。法律で、必ず記載しなければならないと定められている項目(以下、法定記載事項)には、「管理表の交付を担当した者の氏名」とのみ記載されています。そのため、押印を7枚すべてにする必要はなく、氏名のみでの交付が可能となります。
一方で、7枚すべて丁寧に押印したとしても、名字のみの印を押して、フルネームがわからなければ、厳密には違反ということになってしまいます。(フルネームの印であればOK)
これを知っているだけでも、手間が省くことができて、効率化が図れそうな予感はしませんか?


『そもそも、なぜ必要ないものがあるの?』と疑問が浮かぶと思います。
多くの排出事業者様が使用している紙マニフェストの用紙は、上記の法定記載事項を元に業界団体(協会、組合、連合会など)や民間企業が製作・販売しています。その際、法定記載事項のみではなく、「より丁寧に見えるだろう」「こんな項目があった方が便利ではないか?」と独自の項目を付け加えているのだと考えられます。
なので、弊社ではこれを「おせっかい項目」と呼んでいます。

廃棄物委託契約書にもある「おせっかい項目」

委託契約書についても、業界団体等で公表されているひな型をそのまま使用しているという方も多いのではないでしょうか?
実は、こうした一般的な契約書ひな形にも「おせっかい項目」が隠されているのです。

こちらは、インターネットでも公開されている一般的な、契約書のひな型です。注目いただきたいのが「事業範囲」の項目。

この「事業範囲」自体は法定記載事項です。ただし、その中身に注目すべき点があります。
なんと、事業範囲の中に、さらに事業範囲の項目があります。
では、その他の項目は不要なのか?そもそも事業範囲とは何か?と質問されたとすると、いかがでしょうか?

「改めて聞かれるとわからない…。」という方も多いと思います。
自社の契約書を見返してみると、これらの項目をすべて「許可証の通り」とされてはいないでしょうか?
これは廃棄物管理状況の監査や委託契約書のチェックをしていると、多くの排出事業者様で見られる事象なのです。結局、なんのためにどんな情報を書いているのか全くわからない状態になってしまっている…ということです。

事業範囲ってそもそも何?

そもそも、事業範囲とはどういった意味なのでしょうか?
以前弊社が「事業範囲が指しているものは何か」を環境省へのヒアリング調査を行いました。その結果、以下のような調査結果が得られました。

事業の範囲は法令の条文通りに次の事項を網羅する。
・事業を行う自治体(許可都道府県・政令市と同じ)
・廃棄物の種類(委託する内容が含まれればすべての許可品目でなくとも良い)
・収集運搬契約の場合:積替え保管の有無
・処分契約の場合:処分方法

委託契約書の事業範囲はシンプルになる

調査結果をまとめると、委託契約書は以下のような記載になります。

一般的な契約書のひな型よりも、かなりシンプルなものになりますよね。

記載する項目が多くあると、それだけ手間がかかってしまい、ミスも発生しやすくなります。また、「許可証の通り」「見積書の通り」と省略を多用することによって、読んでも内容がわからない契約書になってしまします。

実際に、「許可証の通り」「見積書の通り」の記載がある契約書をお持ちの方は要注意です!

弊社では、クライアントの企業様にオリジナルの雛形を提供し、適正管理を推進しています。
自社の雛形や取引先の雛形を使用している皆さんも、法定記載事項と照らし合わせて、余分な項目がないかを確認してみてはいかがでしょうか?

Keisuke Yoshida 環境コンサルティング事業部

名城大学、経済学部、経済学科を卒業。 東海野球連盟の1部リーグに所属していた準硬式野球部に入部。2年生の春季リーグでベンチ入りをするも登板できなかった悔しさから練習に励み、3年生時には投手キャプテンを務める。 現在は採用担当として説明会の運営を行ったり、HPのコラム等を活用したお客様への情報発信を主に行う。