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愛知県の実地確認とは?2018年条例改正で追加された「勧告・公表」と免除・リモート確認の要点

産業廃棄物の処理を委託する事業者にとって、委託先の実地確認は努力目標ではなく、自治体の条例で明確に義務づけられた排出事業者の責任です。この記事では、愛知県の廃棄物条例第7条を取り上げ、2018年改正で追加された「勧告」「公表」の仕組みから、実地調査を省略できる場合や代理人・リモートによる確認までを整理して解説します。

結論
愛知県の「廃棄物の適正な処理の促進に関する条例」第7条は、県内に設置する事業場で生じた産業廃棄物(県内産業廃棄物)の運搬・処分を処理業者に委託する事業者に対し、委託前と委託中の実地確認を義務づけています。
2018年(平成30年)10月施行の条例改正では、実地確認を怠った事業者への「勧告」と、従わない場合の「公表」の規定が追加されました。
一方で、条例および条例施行規則では、優良産業廃棄物処理業者やJESCOへの委託で実地調査を省略できる場合や、代理人による確認、委託中の定期確認に限ったビデオ通話等でのリモート実地確認なども定められています(2026年7月現在)。
なお、2025年12月公布の条例改正は主に県外産業廃棄物搬入届出制度の廃止に関するもので、本記事が扱う第7条の実地確認とは別のテーマです。

この記事で分かること

  • 愛知県廃棄物条例第7条が義務づける委託前確認と委託中の定期確認の対象範囲(県内産業廃棄物・年1回以上など)
  • 2018年10月施行の改正で追加された「勧告」と、従わない場合の「公表」の仕組みと、信用面への影響
  • 優良産廃業者・JESCOへの委託で実地調査を省略できる場合と、その際も必要な間接確認・記録の5年間保存について
  • 代理人による確認が認められる要件と、条例第7条の適用対象外となる委託(市町村・各種認定業者など)について
  • 委託中の定期確認に限って認められる、ビデオ通話等によるリモート実地確認の条件

愛知県の条例で、実地確認はどこまで義務づけられているのか?

愛知県では、県内に設置する事業場で生じた産業廃棄物(県内産業廃棄物)の運搬・処分を産業廃棄物処理業者に委託する事業者に対し「委託先の処理業者の施設、処理状況等を実地に調査して確認すること」が、廃棄物の適正な処理の促進に関する条例(愛知県廃棄物条例)第7条により義務づけられています。これは、廃棄物処理法第12条第7項の処理状況確認の努力義務を踏まえ、委託契約前の確認(第7条第1項)と、委託中の定期的な確認(第7条第2項)の2段階の確認を具体的に定めているものです。

このうち委託中の定期確認は、委託期間が更新分を含めて1年以上にわたり、かつ実際に産業廃棄物の処理が行われる場合、1年に1回以上行う必要があります。逆に、任意の1年間に処理が行われていなければ、その期間は第7条第2項の対象外とされています。なお、確認の具体的な方法や省略できる場合などは、条例だけでなく条例施行規則第3条に定められています。

そもそもなぜ実地確認が必要なのかという背景については、当社コラム「産業廃棄物の委託先への実地確認は義務なのか──処理状況確認の努力義務と不適正処理リスクへの備え」で詳しく解説しています。

愛知県が公表する「廃棄物の適正な処理の促進に関する条例第7条に関するガイドライン(排出事業者用)」では、過去に発覚した不適正処理の要因の一つとして、条例に基づく実地確認がされていなかった、または不十分であったことが挙げられています。つまり実地確認は、排出事業者自身を不適正処理のリスクから守るための仕組みでもあります。

廃棄物の適正な処理の促進に関する条例第7条に関するガイドライン(排出事業者用)

出典:愛知県環境局資源循環推進課 廃棄物監視指導室(2024年3月)
愛知県HP(条例第7条のページ)

2018年の条例改正で何が変わったのか?──「勧告」と「公表」の追加

愛知県では、2018年(平成30年)10月に「廃棄物の適正な処理の促進に関する条例の一部を改正する条例」が施行されました。この改正で特に注目すべき点は、実地確認を怠った事業者に対する「勧告」と「公表」の規定が新たに追加されたことです。それまでは確認の対象や方法が必ずしも明確でなかったものが、この改正で明確化されるとともに、実効性を担保する措置が設けられました。

実地確認を怠ると知事から勧告を受ける可能性がある

委託前の確認、または委託中の定期確認を怠った場合、排出事業者は愛知県知事から勧告を受ける可能性があります。条例第7条第3項では、知事は排出事業者が実地確認をしていないと認めるときに、確認をすべきことを勧告できると定めています。

第7条 3
知事は、事業者が前二項の確認をしていないと認めるときは、当該事業者に対し、これらの規定による確認をすべきことを勧告することができる。

引用:愛知県 廃棄物の適正な処理の促進に関する条例 第7条第3項

勧告に従わない場合は「公表」される

それでは、受けた勧告に従わない場合はどうなるのでしょうか。条例第7条第4項は、正当な理由なく勧告に従わないときに、知事がその旨と勧告の内容を公表できると定めています。また第5項では、公表の前にあらかじめ当該事業者へ意見を述べる機会を与えなければならないとされています。

第7条 4・5
4 知事は、前項の規定による勧告をした場合において、事業者が正当な理由がなくてその勧告に従わないときは、規則で定めるところにより、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。
5 知事は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ当該事業者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。

引用:愛知県 廃棄物の適正な処理の促進に関する条例 第7条第4項・第5項

この公表は、愛知県公報への掲載およびインターネットの利用により行われます。公表がなされた場合、排出事業者責任を果たしていないと見られてしまう可能性があり、信用面に影響する可能性があります。したがって実地確認は、単なる形式ではなく、企業の信用を守る観点からも徹底することが望まれます。

実地調査を省略できる場合と、代理人による確認が認められる場合

不適正処理に巻き込まれないためには、実地確認は徹底するに越したことはありません。とはいえ、毎回すべての委託先を排出事業者自らが実地調査をするのは負担が大きいのも事実です。そこで愛知県の条例および条例施行規則では、実地調査を省略できる場合や、代理人に確認させる方法、そもそも条例第7条が適用されない場合が定められています。ただし、これらは法的な位置づけが異なるため、次のように整理して理解することが重要です。

区分

内容と主なケース

① 実地調査の省略

実地調査(現地確認)を省略できる。ただし間接的な確認と5年間の記録保存は必要。対象は、委託先がJESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)の場合、または優良産業廃棄物処理業者の場合。

② 代理人による確認

義務の免除ではなく、実地確認を行う方法の一つ。規則で定める関係会社、委託者が構成員の法人格ある同業者団体、知事が定める調査・分析会社等に実地調査させ報告を受ける(知事が定める者への依頼は書面契約が必要)。

③ 条例第7条の適用対象外

そもそも条例第7条が適用されない。市町村が処理する場合、再生利用・広域処理・無害化処理の各認定業者への委託、業許可を要しない者への委託。ただし廃棄物処理法第12条第7項の努力義務は残る。

(参考:愛知県「条例第7条に関するガイドライン(排出事業者用)」2024年3月版)

まず押さえたいのは、優良産業廃棄物処理業者やJESCOへの委託は「実地調査」を省略できるだけで、確認自体が不要になるわけではない点です。この場合も、受託者がホームページ等で公表している処理状況などにより適正処理を間接的に確認し、その記録を5年間保存する必要があるとされています。次に、代理人による確認は義務の免除ではなく、実地確認を行う方法の一つです。代理人になれるのは、施行規則で定める関係会社、委託者が構成員となっている法人格のある同業者団体、産業廃棄物の調査・分析等を行う企業や一定の知識・技能を有する者として知事が定める者などに限られます。このうち知事が定める調査・分析会社等に依頼する場合は、確認に関する契約を書面で締結する必要があります。

一方、市町村が処理する場合や、再生利用・広域処理・無害化処理の各認定業者への委託、業許可を要しない者への委託は、そもそも条例第7条の適用対象外です。ただし、この場合でも廃棄物処理法第12条第7項に基づく処理状況確認の努力義務は残るため、できるだけ確認を行うことが望ましいとされています。

委託中の定期確認は「リモート実地確認」も可能に

さらに近年、愛知県は委託中の定期的な確認(条例第7条第2項)に限り、ビデオ通話その他の通信手段(デジタル技術を活用したリモート等)による遠隔での実地確認を可能としています。ただし無条件ではなく、代表者または規則で定める代理人が現地に赴いて訪問確認を行うこと、リアルタイムでの状況確認や聴取、悪臭・騒音などの計測データや対策状況の確認を同時に行うことなどが条件とされています。なお、委託契約前の確認(第7条第1項)については、リモートでの実地確認は認められていません。

実地確認を怠った場合の勧告・公表まで規定した愛知県の条例

2018年の条例改正で公表の措置が設けられたことにより、愛知県では、実地確認を怠った場合に勧告・公表まで具体的に規定されるようになりました。実地確認に関する規定は自治体によって異なり、勧告や公表の仕組みの有無もさまざまです。そのため、愛知県内の事業場で産業廃棄物を排出する事業者はもちろん、他地域の事業者も、自社の事業場を管轄する自治体の条例・規則を確認し、それに則した実地確認を行うことが重要です。

実地確認の運用に不安がある場合のご相談

実地確認は排出事業者責任の要ですが、遠隔地の委託先や多数の委託先を抱える場合、対象となる委託先について、年1回以上の確認を自社だけで継続するのは容易ではありません。イーバリューでは、実地確認の進め方や社内での運用体制づくりについてのご相談を承っています。自社での対応に不安がある場合は、お気軽にお問い合わせください。

よくある質問(FAQ)

Q. 愛知県では実地確認を怠るとどうなりますか?
A. 愛知県廃棄物条例第7条に基づき、実地確認を怠った排出事業者は、知事から確認をすべき旨の勧告を受ける可能性があります。正当な理由なくその勧告に従わない場合には、その旨と勧告の内容が愛知県公報およびインターネットで公表されることがあります(2018年10月施行の改正で追加)。ただし、個別の事案でどの措置が取られるかは行政の判断によります。

Q. 愛知県の実地確認は、委託前と委託後のどちらで必要ですか?
A. 両方です。条例第7条は、委託契約前の確認(第1項)と、委託中の定期的な確認(第2項)の2段階を求めています。定期確認は、委託期間が更新分を含め1年以上にわたり実際に処理が行われる場合に1年に1回以上必要で、処理が行われていない期間は対象外です。なお、工事などで1回だけ処理委託する場合であっても、委託契約前の確認は必要とされています。

Q. 優良産廃業者に委託すれば実地確認は不要になりますか?
A. 実地調査(現地確認)は省略できますが、確認そのものが不要になるわけではありません。愛知県のガイドラインでは、この場合もインターネット等により処理が適正に行われていることを間接的に確認し、その記録を5年間保存する必要があるとされています。

Q. ビデオ通話による実地確認(リモート確認)は認められますか?
A. 委託中の定期的な確認(第7条第2項)については、一定の条件のもとでビデオ通話等によるリモート実地確認が認められています。一方、委託契約前の確認(第7条第1項)についてはリモート確認は認められていません。条件の詳細は愛知県のガイドラインをご確認ください(2026年7月現在)。

Q. 自社で実地確認を行うのが難しい場合はどうすればよいですか?
A. 愛知県の条例施行規則では、規則で定める要件を満たす代理人による確認が認められています。代理人になれるのは、規則で定める関係会社、委託者が構成員の法人格である同業者団体、知事が定める調査・分析会社等に限られ、知事が定める者へ依頼する場合は書面での契約が必要です。自社での実施が難しい場合は、まず実地確認の進め方や社内の運用体制を見直すことが有効です。イーバリューでもこうした運用についてのご相談を承っています。

 

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Takeshi Sato

環境コンサルティング事業部

チーフマネージャー

セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。

Takeshi Sato