【実地確認】愛知県の条例改正で何が変わったのか?

【実地確認】愛知県の条例改正で何が変わったのか?

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【実地確認】愛知県の条例改正で何が変わったのか?

「愛知県の実地確認(条例)は特に厳しく、最近改正もあったと聞きました。どんなところが厳しくなったのですか?」 そんな質問をいただいたので、今回は愛知県の改正された実地確認について解説していきます! 地方自治体では、法律に上乗せして排出事業者に対して処理業者への実地確認を義務付けているところがあります。 さらに今回の条例改正で、愛知県は特に厳しいと言えるレベルになったのではないかと筆者は感じています。 管轄行政が愛知県の排出事業者だけでなく、業界動向として多くの方に知っていただきたい内容です。

実地確認に関する条例改正

愛知県では、「排出事業者は委託先の処理業者の施設、利用状況等を実地に調査し確認すること」が条例により義務付けられています。 そもそも、なぜ実地確認が必要かはこちらのコラム「実地確認はなぜ必要か?」をご覧ください。 愛知県が公表している「廃棄物の適正な処理の促進に関する条例第7条に関するガイドライン」によると、過去に発覚した不適正処理の要因の1つに、条例に基づく実地確認がされていない、不十分であったことが挙げられています。 参考:「廃棄物の適正な処理の促進に関する条例第7条に関するガイドライン」 そのため、平成30年10月に「廃棄物の適正な処理の促進に関する条例の一部を改正する条例」が施行されました。 今回の条例改正の中で特に注目したい点は、実地確認を怠った事業者に対する勧告と公表の規定が追加されたことです。

実地確認を怠った事業者に対する勧告と公表の規定

          (引用:愛知県HP) 委託前・年一回の実地確認を怠ると愛知県知事から勧告を受ける可能性があります。 もし、受けた勧告に従わない場合にはどうなるのでしょうか?          (引用:愛知県HP) 勧告を受けた排出事業者が正当な理由なく勧告に従わなければ、愛知県知事は勧告に従わない旨とその内容を公表する規定も追加されています。 愛知県広報への掲載及びインターネットを利用しての公表がなされた場合、排出事業者責任を果たしていないと見られてしまう可能性があり、企業のイメージダウンにつながるなど大きなリスクがあります。 また、この他確認する対象や、確認方法等が明確化されています。

実地確認を免除される場合

不適正処理に巻き込まれないためにも、実地確認は徹底するに越したことはありません。 しかし、毎回実地確認をするのは大変なことだと思います。 実は愛知県の条例には実地確認に関する免除の規定もあります。 その他の自治体でも条例で実地確認が義務付けられている場合は、合わせて免除規定が存在するかもしれません。          免除される項目一覧          (参考:愛知県HP

【国や自治体が管轄している委託先】 条例は都道府県や政令市など地方自治体が出しているものです。 県が、民間の排出事業者に「国や市町村が怪しいかどうかチェックしなさい」というのもおかしな話です。 ・委託する処理業者が中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)の場合 ・市町村が産業廃棄物を処理する場合 がこれに該当します。
【代理人による実地確認】 実地確認は原則として排出事業者が行う必要があります。 ただし、代理人に調査をさせて報告を受けることによる免除も可能です。 実地確認の代理人は、 ・排出事業者のグループ会社 ・同業者団体の母体(組合、協会、連合会など) ・分析・調査会社 などが該当します。
【業許可が不要】 業許可を必要としない処理委託先であれば実地確認は必要とされません。 ・広域処理の認定を受けた業者に処理委託する場合 ・再生利用の認定を受けた業者に処理委託する場合 ・無害化処理の認定を受けた業者に処理委託をする場合 ・その他業許可を必要としない者に委託をする場合 が該当します。

より厳しくなった愛知県の条例

愛知県の条例改正に伴って公表の措置がとられるようになり、排出事業者に対する責任はより厳しいものとなりました。 今後、愛知県の条例改正を皮切りに、他県でも改正の措置が取られる可能性も十分考えられます。 各県の条例をよく確認し、それらに則した実地確認をするようにしましょう!

 



Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー

セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。