【法改正の続報】親子会社間の一体的処理のメリット・デメリット

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【法改正の続報】親子会社間の一体的処理のメリット・デメリット

親子会社間で廃棄物を一体処理する場合、一部、業許可不要に

2018年4月1日施行予定の改正廃棄物処理法では、一定の条件を満たし、都道府県知事の認定を受けることで、産業廃棄物を親子会社間(グループ会社間)で一体的処理(まとめて処理すること)をする場合に、産業廃棄物処理業の許可を受けずに処理をすることが可能になりました。

例えば、大きな工場の中に昔は同じ会社だったものの、今は分社化して別の法人となっていることがあります。この場合、親会社が子会社の廃棄物を自社処理施設で一緒に処理をしたり、親会社の廃棄物置き場に子会社のものを受け入れて保管をしたりするといったことは、産業廃棄物処分業または収集運搬業の許可が必要でした。

他社の廃棄物を受け取って、処理や保管または運搬などをしていることになるので、そうなりますよね。

しかし、「一定の条件」を満たすことで許可不要となる規定が新たに追加されることになりました。そして、「一定の条件」は今まで不明確な部分が多かったのですが、2月22日付で環境省令より発表されたことによって、具体的な内容が見えてきました。

今回のコラムでは、どのような条件を満たせば許可不要となるのか解説します。

許可不要となる「3つの条件」とは

まず、「一定の条件」とはどのようなものなのか見てみましょう。

簡単にまとめると、100%子会社と親会社の関係であれば、条件なしに許可不要の対象となります。

100%でない場合には、①3分の2以上の株式(もしくは出資)を保有し、②役員を派遣し、③昔同じ会社が分社化した会社であるという3つの条件をすべて満たすと対象となります。

また会社間の関係だけでなく、廃棄物を受け入れる側にも基準があります。「統括して管理する体制のもとで収集運搬又は処分を行う者であること」「収集運搬又は処分を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること」などいくつかの基準がありますが、総じて「適正処理ができることが担保されるように」求められています。

つまり、大枠でまとめると、「しっかりした関係性があって、適正処理ができるのであれば別法人でも同じ会社とみなすことができる」
ということになります。
同じ会社とみなすので、親会社A社、子会社B社がいた場合に、B社が排出する廃棄物もA社が排出したものとして扱うことができるようになるわけです。

認定を受けた場合のメリット――効率化が図れる

では、この認定を受けるとどのようなメリットがあるのでしょうか?

最大のメリットは、
自社処理施設を保有している場合に、分社化した会社もその施設で処理をすることができる

ということです。A社B社どちらが排出した廃棄物でも、グループとして自社排出とみなされるので、委託基準が適用されません。受け入れる側の企業は業許可が不要ですし、自ら処理扱いなのでマニフェストの発行なども不要となります。

すでに業許可を受けて、グループ会社の廃棄物を受け入れている企業もありますが、廃棄物処理業を受けて他人の廃棄物を受け入れる場合、委託基準が適用されますので、契約書の締結やマニフェスト管理が必要となり、それなりの手間がかかります。そのため、同じ会社とみなされるという点は大きなメリットです。

認定を受けた場合のデメリット――何かあった際は責任も共有

反対に、同一の会社とみなされることで生ずるデメリットはあるのでしょうか?

これはそれぞれの会社の管理体制にもよりますが、同一の会社とみなされることによって
「排出事業者責任」も共有する
という点には注意が必要です。

グループ内で統一的な廃棄物管理基準があって同じレベルで管理ができているというグループであれば問題にはなりません。仮に、「親会社は徹底しているが子会社は管理体制が甘く、コンプライアンスが徹底できていない実態がある」といった場合には注意が必要です。

例えば、管理が徹底できている親会社Aが、管理不十分な子会社Bの所有する自社処理施設で廃棄物を処理したいとして、認定を受けたとします。そして、自社処理した残さを外部委託します。この時、B社がマニフェスト実務を行っていて、知識不足により外部委託の際のマニフェストに虚偽記載とみなされる状態が発覚したとします。

この時、B社だけでなくA社も罰せられます。「同じ会社とみなしてください」という申請を出しているのですから、都合の悪い時だけ「別会社です」とは言えないわけです。

求められるのは”統一された適正管理”

このように、同じ会社とみなしてもらうことによって、効率化できる一方で“責任”も共有することになります。

実態として、申請だけしておいて、あとは任せきりになっていてはリスクマネジメントとして大変危険な状態です。
一体的処理を行うのであれば、管理においても両社がその方法や社員の意識も合わせる必要があります。

この点を十分理解した上で、自社において、親子会社間での廃棄物の一体的処理をするのかどうかを判断することが求められます。

Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー

コンサルタントとしての活動で実績を積む傍ら、セミナーインストラクターとして数々のセミナーを担当。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。 対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。